はじめに
iDeCoはわかりやすさを追求
iDeCoの運用商品数は、「投資商品が36本以上あると投資先を自分で選べなくなる人が急増する」との調査結果をふまえ、厚生労働省が35本としました。これはiDeCoというより企業型確定拠出年金(DC)の方がピンとくるかもしれませんが、企業型DCの場合、会社の制度だからとよくわからずに加入するケースも多く、そういう方でも利用しやすいようにという配慮とも言えます。
一方、個人が任意で加入するiDeCoは2017年に加入対象者が拡大したことにより、新規運営管理機関が多数参入し競争が激化、また情報公開が進んだことで組み入れられる投資信託の低コスト化が加速しました。35本と上限が設定されているため、運営管理機関もより商品選択に慎重になったのか、それぞれの投資信託の運用コンセプトからコストの開示について「よりわかりやすく」工夫したものが増えてきました。
一方、取り残され気味なのが企業型DCです。そもそも企業年金であるため、情報が公開されることもないまま時間が経過し、結果的に信託報酬が高いまま、商品としての成績が振るわないまま、そのまま残っているという指摘もあります。
企業型DCの導入企業には、より加入者の利益を追求するための商品の入れ替えや手数料の引き下げ交渉が期待されていますし、加入者に対しては今年10月よりiDeCoの併用加入を認めることで、より広い選択肢が準備されるようになります。
商品選択のベンチマークに
投資にはリスクがつきものですが、リスクをコントロールする術を身につけることは重要ですし、それぞれのライフプラン実現のために適切な金額を投資に振り向けることの必要制を理解することで、リスクに対する耐性も増してきます。
すると、つみたてNISAとiDeCoは、「貯蓄から資産形成へ」を掲げる国の方針を具体化した制度だ、ということがより理解できると思います。それぞれ商品を絞ることで、投資経験の浅い国民へ、投資との向き合い方をガイドしてくれるものだとも言えるでしょう。
まずはこの2つの制度を資産形成のスタート地点とし、ここで指定された商品をベンチマークとして投資を学んでいくことがよろしいでのはないかと考えます。