はじめに

独立系資産運用会社の理念で選ぶ

金融庁が発表した「資産運用業高度化プログレスレポート2022」によると、アクティブファンドにおいては、大手資産運用会社よりも独立系の資産運用会社の方が、選択と集中が功を奏し、良好な運用成果を上げている傾向があると指摘されています。

独立系の資産運用会社の特徴として、投資先の公開や対話内容を投資家向けにわかりやすく開示したり、さらに理解を深めるためにコミュニケーションをとったりする活動があげられます。

筆者は、独立系の資産運用会社の勉強会で、長期運用を目的とすると、企業経営のサステナビリティの評価は非常に重要で、結果的にESG(環境・社会・ガバナンス)投資になるのだ、という話を伺い、なるほどと思った経験があります。大手資産運用会社はその性質上、短期での運用成績が重要視されていると言われていますから、長期の資産形成を目指す私たちにとっては自分の目的と運用会社の目的が同じかどうかを見定めるという視点も必要です。

ESG投資については、金融庁レポートでも、「アクティブ型で信託報酬が高く設定されているものが多く、また運用の評価も十分ではない」と指摘している点も考えると、資産運用会社の理念を知ることの方が、安易に「ESG」と冠を掲げた投資信託を選ぶより重要に思います。

投資とは、そもそも明日はもっと良くなると信じ、努力する姿に共感し応援するものです。具体的に新しいサービスや技術の提供となるかもしれませんが、根底は社会的な課題の解決で、そこに価値を見いだすからこそ、大切な資金を提供しその企業を応援している訳です。しっかり腰を据え企業を支えその成長の恩恵を受けることが長期の資産形成と考えると、その行為を代行している資産運用会社の理念は、むしろ投資家である私たちが最初に学ぶべきところとも言えるでしょう。


以上投資信託を選ぶ際の3つのアプローチをご紹介しました。投資信託を選ぶ際は、「どこに」「いつ」投資をするかばかりを気にする方も少なくありませんが、「誰から」「コストは」「目的は」も重要なポイントです。

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