はじめに
(2)支出を整理する
高額療養費制度を利用しても、治療費はゼロにはなりません。休職中の傷病手当金の利用や復職後の収入は今までより減る方が多いので、治療費にまわせるお金が無いか、支出を整理し確認していくことが大事です。
ものすごく食費がかかっていた場合は別ですが、食費や光熱費を家族全員で頑張って切り詰めるよりも、支出を書き出し、毎月固定で多く支払っている項目や使途不明金(使い道が不明なお金)を明らかにして見直していく方が、体や心にも負担なく支出を減らせます。
ある白血病の方の奥さんは、治療開始から6カ月の時期にあまり参加していないスポーツジムの会員費や、保障が重なっていた生命保険を解約する、使途不明金を明らかにするなど支出の整理に取り組んだ結果、「1カ月で5万円も浮いて治療費にまわせた、もっと早くしておけば良かった」とおっしゃっていました。
一人で悩まずに、周りに相談していくことが一番の対処法
がんになってからのお金の悩みというのは、一日も早く誰かに相談して行動していくことが一番の対処法です。利用できる制度は一人ひとり違いますし、制度の内容は難しく、たどり着いて申請するまでに時間がかかるためです。相談先を知っておくことは十分な備えの一つと言えます。
相談先で一番身近なのは、病院の「がん相談支援センター」です。制度のことだけでなく、体のことや治療のこと、家族や職場のことなど話すことができます。
また、制度は状況により利用できるかどうかも変わってきます。自分の情報に基づいた制度利用の確認が必要ですので、健康保険証に書かれている保険者(健康保険組合、全国健康保険協会の支部、国民健康保険なら自治体窓口など)に確認していくと良いでしょう。
支出の見直しは大事ですが、やみくもに減らしても希望とする生活からかけ離れてしまうことがあります。治療費にまわしていくための家計の見直しや教育資金の準備方法などは、FPに確認すると良いでしょう。
お金の情報は、気づいたときがタイミングです。早ければそれだけ今後の選択肢も広がります。