はじめに

不動産で相続させる方法の注意点は?

70歳時におそらく5,000万円の役員退職金を得る予定とのこと。この資金で不動産の将来的な購入を検討されているようで、「(3)暦年贈与はせず、退職金で不動産を購入し、不動産で相続させる」ことについてみていきましょう。

一般に賃貸不動産は購入額より相続税評価が下がり相続財産が相当程度軽減され、相続税減少の効果が期待できますので、有効な手段とは言えるでしょう。

賃料収入の安定性や物件の価値の保全(値下がりリスクがあっては相続税対策以上に損失を追います)、その物件の売買相場と相続税評価との乖離など様々な要素を考慮する必要があります。

近年では、不動産を用いた過度な節税に対して、相続税対策を主目的に借入により大幅に相続税を引き下げたとみなされた事案での否認事例もありますので、また70歳時における動向も踏まえてその時点で検討されるとよいでしょう。

ご質問が「暦年贈与はせず退職金で不動産を購入」とのことですが、現行制度においては暦年贈与は確実な効果がありますので優先で考え、暦年贈与はしないのではなく並行で検討するのがよいのかと思います。

なお、不動産は分割しづらく一般に共有にするのは方針の違いなどが生じた場合にトラブルになるためあまり良いとはされていませんので、遺言などで誰にどの物件を残すかなどは明確化しておいたり、息子のためにそれぞれ法人を用意して法人株式・持分を相続や生前贈与するという方法もありますので、様々な検討が必要です。

生命保険やその他の節税方法

生命保険は500万円×法定相続人の人数まで非課税になるため、一時払い終身保険などに加入することで最大1,500万円まで相続財産を減らすことができますので、余裕資金の範囲で最も優先順位が高い方法の1つです。

また、子どもの状況やメリットデメリットを踏まえ、教育資金の一括贈与、結婚・子育て資金の一括贈与、住宅取得資金贈与なども場合によっては検討されるとよいでしょう。

質問者の場合、相続税を支払う金融資産は十分にありますので、税金対策は考えながらも、長期的な財産の保全、誰に財産をどう残すかの検討を踏まえた遺言の作成要否、ご自身夫婦のリタイア後のライフプラン、資産運用方法などのバランスを合わせて検討するのがよいかと思います。

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