はじめに
ローン以外にかかるお金を忘れずに
ここで注意点としてお伝えしたいのは、マンション購入では住宅ローンの返済以外にも管理費や修繕積立金がかかることです。この程度の広さの物件だと新築マンションの場合、両方合わせて月額2万円前後が目安になります。ただし、中古物件の場合には新築マンションよりも修繕にお金がかかりやすいこともあり、値上がりしている可能性があります。また、小規模なマンションだと1軒当たりの負担が重くなりやすい傾向があります。いずれも購入後は同時に継続的にかかる費用ですから、ローン返済額と合わせて修繕積立金や管理費についても考慮して予算計画を立てましょう。
現在お住まいの賃貸住宅の家賃10万円と比べると、マンション購入後は住居費が15万円(住宅ローン13万円+管理費・修繕積立金2万円以上)以上になる可能性があり、1.5倍になりそうです。
この金額を無理なく払っていけるかどうかは、今後のライフプランに関わります。今後も出産や自動車購入の予定がなければ、大きな出費を伴うライフイベントは住宅購入以外に見当たりません。現在、毎月20万円の貯蓄ができていますが、住居費が5万円増えることで毎月の預金額が5万円減っても困ることはないでしょう。
今のまま働ければ老後はそれほど心配ない
ご相談者さんは老後資金が気になっているご様子です。そこで、ここからは老後資金について考えていきましょう。
心配されている点は、以下の2点ではないでしょうか。
(1)子どもがいないこと
(2)退職金が無いこと
最近は子どもがいても、介護などを子どもの世話になろうと考える人は減ってきています。お金の面だけで考えたら、教育費や養育費がかからない分、老後資金準備を早くから始めやすくなります。
厚生労働省の統計によると、大学卒で大企業に入社して定年まで勤続した男性の退職金の平均額は2,230万円と言いますから、これだけの金額をもしも夫婦でもらえていたら……と思ってしまいそうなところですが、心配はいりません。
ご相談者さんの家計にはこのようなメリットがあります。
(1) お二人とも正社員として働いている
(2) 退職年齢が65歳以降
お二人とも正社員として働いて厚生年金に加入しているので、老後は二人で老齢厚生年金を受け取れます。しかも、妻の定年は65歳、夫の定年は70歳ということで、ご夫婦とも長く正社員として働けます。老齢年金の受給開始年齢が65歳ですから、定年まで働けば収入の空白期間がありません。
現在すでに、iDeCoやつみたてNISAを始めていますが、これを可能な限り継続しましょう。iDeCoは2022年5月からの制度改正で、国民年金の加入者であれば65歳まで加入できるようになり、働き続けている人は60歳以降も積み立てができるようになりました。会社員であれば、厚生年金加入者として国民年金を払い続けているため、65歳まで拠出ができます。NISAについては恒久化なども求められていますが、2022年9月段階では非課税投資期間は最長で20年間、制度は2042年までとなっています。