はじめに

青色申告特別控除

※編注:初出時、白色申告でも特別控除が適用されると記載の誤りがありました。 お詫びして訂正させていただきます。
青色申告をすると、税金を計算するときに、無条件で65万円を引いてくれます。もし、1年間の収入が200万円で経費が50万円だったとします。すると、利益は「200万円 ― 50万円 = 150万円」となります。

この利益を「雑所得」として申告すると、この150万円の利益が「所得(もうけ)」として税金がかかることになりますが、事業所得の場合は「特別控除」といって、ここからさらに引いてもらえる金額があります。青色申告の場合は最大65万円をさらに引いてくれるのです。

「雑所得・白色申告」200万円 ― 50万円 = 150万円
「事業所得(青色申告・簡易簿記)」200万円 ― 50万円 ― 10万円 = 140万円
「事業所得(青色申告・複式簿記)」200万円 ― 50万円 ― 65万円 = 85万円

税金がかけられる「所得(もうけ)」の金額が、青色申告・複式簿記になると急に低くなるのがわかりますね。この控除は、所得税の計算と住民税の計算の両方に適用されます。

所得税の税率は5〜45%ともうけの金額が大きいほど高くなりますが、住民税は一律10%です。両方の税率を合わせると、15〜55%の税率で税金がかかるのです。

65万円の控除を受けることで雑所得と比べると97,500円から357,500円、白色申告と比べると毎年82,500円から302,500円もの税金が安くなるのです。しかも毎年なので、やらないなんて、なんて……嘆かわしい! ですよね。

なお、青色申告であっても55〜65万円という控除に10万円の幅があります。これは昨年(令和3年分)の確定申告からスタートした制度で、e-Taxという国税庁のシステムを使って電子申告、つまりデータで提出をすると65万円控除ですが、紙に印刷して提出すると55万円控除となります。10万円の差をつけることで税務署は、「もう、頼むから紙で印刷して出さないで! 紙での申告なら手間賃ちょっともらうで」とアピールし、電子申告を進めたいのです。

マイナンバーカードがあれば、「マイナポータル」というアプリを利用してe-Taxと連携して電子申告ができますし、過去に一度でも電子申告をしたことがあれば「利用者識別番号」という16桁の番号(ID)とパスワードを持っているはずなので、これらを利用して電子申告ができます。新たに利用者識別番号を取得したい場合は、税務署で身分証明書とマイナンバーカード、または通知カードと身分証明書を持参して確認を受けた上で「電子申告利用開始届出書」を提出すれば、利用者識別番号(ID)をゲットして、めでたくIDとパスワードを使って電子申告が簡単にできます。ぜひ電子申告で確実に65万円の控除を受けて税金を安くしてもらってください。

マイナスの3年間繰越控除

「まだ事業を始めたばかりで全然儲かってないから白色申告でいい」と言われる方も多くいらっしゃいますが、まだ儲かっていなくて、むしろマイナスで赤字が出てしまうという方ほど、青色申告をやっていればお得です。なぜなら、青色申告はマイナス「損失」になっている分を3年間持ち越して、プラス「利益」になったときに持ち越した分を引いてくれるのです。

過去3年間、毎年30万円マイナスだったが、今年一気に200万円の利益がでた、という場合は青色申告特別控除の65万円を差し引いた135万円に税金がかかるのではなく、そこからさらに90万円の損失繰越を引いてくれるのです。つまり、「200万円 ― 65万円 ― 90万円 = 45万円」となり、この45万円だけに税金がかかります。いままでの苦労が報われ、なんて……喜ばしい! ですよね。

「まだそんなに儲かっていない」という人ほど、その辛さをバネに、キッチリ帳簿をつけて未来の節税に繋げましょう!

青色事業専従者給与

事前に、誰にどんな仕事内容に対していくら支払うなか、どの詳細な内容を届け出ることで、家族に対して支払った給与を経費として認めてもらえるという特典です。ただし、家族に給与を支払うということは、事業主であるあなたが家族の分の給料の計算をし、さらには年末調整で税金の手続きをしてあげなければならない、ということになります。

しっかりとした準備や給料から引く「源泉所得税」に関する知識も必要になりますので、この制度を利用する前に必ず、給料に関する税金や社会保険に関する手続きをチェックしてください。

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