はじめに
「1日も早くビジネスをやれ。人生はマネー、マネー、マネーだ」
「ライバル企業は潰せ」
ジョン・ロックフェラー (ロックフェラー財閥始祖)
米国史上最も莫大な富を築いたと言われるジョン・ロックフェラーの人生は、大きく2つに分けることができます。
週給5ドルの店員から身を起こして石油市場を独占し、「潰し屋」「追いはぎ貴族」「同時代最悪の犯罪者」と酷評された前半生。シカゴ大学やロックフェラー大学設立などの慈善事業に励んだ後半生です。
ロックフェラーの前半の人生に強い影響を与えたのは「ビッグ・ビル」と呼ばれた父親です。農夫に7.5%の利息をつけて50ドルを貸した息子を母親は叱りましたが、父親は「いいじゃないか。この国で一番大切なのはマネーなんだから」と賞賛しました。まだ学生のロックフェラーにこう言い続けています。
「1日も早くビジネスをやれ。人生はマネー、マネー、マネーだ」
これがロックフェラーの信条となります。
16歳で高校を中退したロックフェラーは今で言う商社の新人簿記係として採用されますが、やがて「天与の商才」を発揮するようになり、英国で飢饉が発生するという情報をもとに小麦やコーン、ハムなどを買い占めることで会社に大きな利益をもたらします。しかし、社長に昇給を断られたことで会社を退社します。ロックフェラーは20 歳の頃に年長のモーリス・クラークと商事会社を設立、農産物や石油で最初の成功を収めますが、事業の拡大をめぐって慎重派のクラークと対立し、会社を大金を出して買い取っています。「彼らと別れたその日こそ、私の成功の始まりだった」と振り返っています。
ロックフェラーは石油精製に突き進み、1870年にスタンダード石油を設立、以後、凄まじい快進撃を開始します。
ここがポイント
1日でも早くスタートを切れ。時には人と別れることも成功要因の1つ。
「バーンズ&ノーブル・ドット・コムが、優れたオンライン小売業であるために必要な能力を買収で手に入れるか、築き上げるか、あるいは習得するまでに、アマゾン・ドット・コムが世界一流のブランド名を確立できるか」
「アマゾン・ドット・コム」
ジェフ・ベゾス (アマゾン創業者)
アマゾンの創業者ジェフ・ベゾスが創業期から追い求めたのは「速く大きくなる」ことです。かつては創業したばかりの企業であれば、時間をかけて足元を固め、少しずつ成長していくことを良しとしていましたが、インターネットという急速に拡大する市場でビジネスを行い勝ち抜くためには、とにかく「速く大きくなる」ことが必要だというのがべゾスの考え方でした。
理由は後から来る参入者を圧倒するためでした。1997年、アマゾンの成功を見た全米一の書店「バーンズ&ノーブル」がインターネットを通じた書籍販売への参入を表明します。アマゾンがサービスを開始して約2年後のことです。バーンズ&ノーブルは、AOLと独占契約を交わし、アマゾンと同様の「100万タイトルを超える書籍データベース」「迅速な配送」「30%割引」などで対抗しようとしますが、べゾスは同社の成功には時間がかかると見て、アマゾンの成長を加速させます。
インターネット市場ではシェアや大きさがものを言います。べゾスは「バーンズ&ノーブルがノウハウを確立するのが先か、アマゾンの成長が先か」と考え、利益度外視で積極的な投資を続けます。リアル書店で2位の10倍になるのは大変ですが、ネット上であれば他社より優れたサービスを提供すれば、「いいね」という口コミがまたたく間に広がり、爆発的にユーザーを増やすことができます。
「今の利益」を追いすぎると、「将来の利益」を失うことになります。べゾスは「今の利益」を犠牲にしてでも未来への投資を行うことで急速な成長を実現、アマゾンを巨大企業へと成長させることに成功したのです。他社の先を行き、速く大きくなることこそがインターネット時代の圧倒的な勝利をもたらすのです。
ここがポイント
「他社の先を行け、急速に大きくなれ」がネット時代の勝利の鉄則。