はじめに

税の壁(配偶者控除と扶養控除)

税金の壁は実は4年前にリニューアルして、税が安くなる枠が広がってお得になった分、さらに複雑な制度に変わっています。
「控除」というのは、税金の計算をするときに「もうけから引いてくれる金額」です。所得税は下記で計算しますので、控除が増えると税金が安くなるという仕組みです。

所得(もうけ) − 控除 = 差額
差額 × 税率 = 税額

一般的な配偶者控除や扶養控除を受ける場合、控除の金額は38万円です。以前は、「給与で年収103万円以下の家族を養っていたら38万円の控除が受けられるよ、以上!」でした。年末が近くなると「103万円超えそうだから……」と仕事を休んでしまうベテランのパートの方がたくさん出て、年末商戦の大切な時期に現場は大混乱でした。

この、103万円ルールをなんとか変えて欲しいという要望が出たため、配偶者控除については特別ルールができました。つまりボクとワタシなど配偶者ではない家族については、そのまま103万円の壁。配偶者に該当するママは特別ルールが適用されて103万円を超えても大丈夫ということになったのです。

この特別ルールを「配偶者特別控除」といって、ママの給与年収150万円以下ならこれまで通りの税を安くする「38万円控除」を受けることができます。そして、150万円を越えたとしてもその控除額が一気に0円になるのではなく、36万円→31万円→26万円……と、ジワジワ減っていきます。つまり、150万円の壁ギリギリで踏みとどまる必要がなくなっているのです、ママは社会保険の扶養だけを気にしていればOKということになりますね。

なおリニューアル後、配偶者の控除制度はパパの年収が1,095万円を超えると控除の金額が3段階に減少して、給与年収1,195万円を超えるパパは配偶者に関する控除が一切ありませんのでご注意ください。詳細は、国税庁「No.2672 年末調整で配偶者控除又は配偶者特別控除の適用を受けるとき」を参照ください。

画像:国税庁「No.2672 年末調整で配偶者控除又は配偶者特別控除の適用を受けるとき」より引用

居住者の合計所得金額について、給与の年収に換算すると下記になります。

上記を踏まえると、配偶者については130万円を超えると、社会保険料を自分で負担する分手取り金額が130万円より少なくなるので、130万円を超えるぐらいなら150万円の壁を気にせず、160万円以上をしっかり稼いだ方が良い、ということになります。

大学生のアルバイトに要注意!

配偶者以外の扶養家族については、注意が必要です。特に、年末時点で19歳から22歳の扶養家族がいる場合は、控除の金額が増えるのです。

大学生ぐらいの子どもを養っていたら、「学費などがかかって大変でしょう? 控除を多めにしておいてあげるね!」ということでしょう。金額がこんなに違うので、節税効果も大きいのですが、我が子のバイト代を把握している親はなかなか少ないのかもしれません。

103万円以内に抑えておいてもらうことで、パパの税額が何十万円も変わってくるので、いくらかお小遣いをあげてでも「バイト代は103万円まで!」としっかりつたえておくことが、節税の観点からは有効ですね。

今回の例では、20歳のボク・18歳のワタシなので、63万円控除に該当する「ボク(20歳)」については、特に注意が必要であるということになります。

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