はじめに
障害基礎年金が打ち切られたらどうなるの?
Aさんの場合、障害基礎年金が受給できなくなることも考えておく必要があります。というのも、障害の状態確認が「有期」で障害の程度が軽くなると受給できなくなる可能性があるからです。Aさんの精神疾患では「有期」に該当するため、障害基礎年金を受け取れなくなると老齢基礎年金を受け取ることになります。
また、話は変わりますが、65歳以後に受け取る基礎年金については「障害」または「基礎」から選択できるのですが、Aさんの場合は後述の通り障害基礎年金額の方が大きいため割愛します。
ねんきん定期便にはAさんの老齢基礎年金見込額は約68万円と記載があります。老齢基礎年金は40年の加入で満額約78万円を受け取れます。前述の通り、Aさんは10年ほど障害基礎年金を受け取っており、その期間の国民年金保険料は法定免除になっています。法定免除の期間は、保険料を2分の1納付したものとして老齢基礎年金見込額に反映されます。そのため、Aさんの見込額は満額から約10万円少なくなっているわけです。このままだと、Aさんの受け取る老齢基礎年金は現在受け取っている障害基礎年金より年間約10万円減ってしまいます。
老齢基礎年金を増やすのは、その時になってから考えるのがベター
保険料を追納で納めれば、老齢基礎年金の受給額を増やして満額に近づけることは可能です。ただし、今後障害基礎年金の受給がどうなるかは正直なところわかりません。結果的に障害基礎年金を一生涯受け取ることになれば、保険料を追納して納めたとしても平たくいうと払い損になってしまいます。そのように考えると、障害基礎年金を受け取れなくなった時に、老齢基礎年金の繰り下げをするのも有用かもしれません。老齢厚生年金の繰り下げと同様に繰り下げている期間を貯金で賄うことができれば一考の余地があります。
以上、Aさんのご希望も伺いながら受け取る年金をまずは一緒に考えてきました。公的年金制度はとても複雑なので方向性が定まったところで年金事務所に相談に行くことをおすすめしています。