はじめに
被災後のくらしを想定することも
火災保険見積の際には建物の評価をすることが大切とお話ししました。再建のために評価金額と同額の設定が望ましいのはいうまでもありません。
結婚し子どもができ、家族での暮らしを想定して新築したものの、子どもが巣立ち、それぞれの地でそれぞれの生活を始め、老後は二人のくらしになりそうだというご家庭も地方には多くあります。
このようなくらしで、万一被災した場合、今と同じ建物を建てるかというと、多くのひとは、再建するとしても、かなり規模を小さくしての再建、または、被災した家を処分し、老後は仮住まいで過ごすという選択をされるようです。
今後の方針が決まっているのでしたら、評価額通りの火災保険に加入するのではなく、評価が2,000万円だったとしても半分の1,000万円、または片付けなどの処分費用として500万円だけ火災保険をかける方法もあります。もちろん保険料も安くなりますので、家計の節約にもなります。ライフステージに合わせ、火災保険更新時の保険金額チェックは必要です。
新築時加入の長期火災保険、保険金額は要チェック!
令和4年10月から、火災保険長期契約は5年が最長になってしまいましたが、35年の長期契約ができた時代に加入後、保険金額や補償内容、地震保険や家財保険がついているかいないかノーチェックのひとも多くいます。保険証券が手許にない場合は、住宅ローンを組んだ金融機関や、建築した工務店などに問い合わせて確認するのも一つの方法です。
前の項目で説明したように、火災保険は再建のための保険です。金融機関で加入の場合、被災時のローン返済の意味合いが強く、借入金額で保険金額が設定されている場合があります。当時は適正であっても、物価上昇に追いついておらず、再建できる評価額に不足している可能性がありますので、保険金額の確認が必要です。併せて、家財保険や地震保険が付帯されているか調べてみましょう。加入しているだけでは安心とはいえません。
住宅金融公庫の特約火災保険に加入されている方は、ローン完済に伴い特約火災保険満了のお知らせが届きます。特約火災保険は複数の損害保険会社で分担して引受けているので、見積が欲しいという希望を出せば、満了後の見積りを出してくれます。自動車保険などですでにお付合いのある保険代理店に相談する方法もあります。いずれにしても、無保険の期間ができないよう早めの検討が必要です。