はじめに

「お隣とはどうして値段が違うのですか?」

間取り・面積等、形状が変われば値段も変わる

「部材費+出張費(交通費) )+技術費+(取付手間賃) 」が基本

最近、「隣がいくらだから、自分の家も同じ価格でできるか」という問い合わせが目立つようになりました。

一戸建ては当然、それぞれの住宅面積が違います。入り口の位置や、屋根の形状、窓の大きさ等も全く異なります。いちばん基本になる面積が変われば、総額も違って当然です。これはとくに外壁塗装や、屋根の葺き替え等で顕著にあらわれてきます。リフォームに限らず同じ間取り、同じ面積でなければ外壁の面積や、内部のクロスの面積、そして総額も違ってきます。

では水道工事等の手間賃についてはどうでしょうか。たとえばキッチンやシステムバスを交換するときに、「外部の散水栓の蛇口を換えたい」「ついでにトイレのタンクの浮きを替えたい」という要望があった場合はどうでしょうか。単純に外の散水栓は3000円前後、トイレの浮き(ボールタップ)は5000~7000円くらいの部品代になります。ところがそれぞれをキッチン等の取り換え時ではなく、それだけを依頼した場合は、「部材費+出張費(交通費)+技術費(取付手間賃)」がかかり、部材と合わせて1万円以上の金額になります。

作業段取りでも値段は変わってくる

このように、キッチンやシステムバスの工事と一緒に行えば費用を抑えることができるのです。これは専門技術者がその場にいて、一緒に工事することができるからです。この前は安かったのに、「今回水道の水漏れを頼んだら高かった」と言われても、右記の理由で価格は異なってくるのです。

工事をする職人さんにとっても、蛇口を交換するだけでも移動の時間等を入れると、半日はかかってしまいます。一方、キッチンやシステムバスの工事と一緒なら、時間のロスは少なくて済みます。

「うちは本当に安くしてもらった」という話があっても、状況が違えば価格も違ってきますので、部分的に取り上げての話は参考になりません。使う材料、間取り、工事の規模によって価格は大きく違うのです。価格については必ずなぜそうなるのか会社に説明してもらうことで、より納得できると思います。

労賃が半分であれば無理がくる

職人さんの手間賃はどうでしょうか。各会社間で大きい差は出ていません。協定の価格がありますから、日当に換算して、1000~2000円くらいの差しかないはずです。

リフォーム工事は請負契約です。請負契約の本質は、労働契約とほぼ同じです。50%OFFということは、労賃を半値にすることに等しいのです。浴室の交換一つとってみても、大工、解体業者、電気、水道、ガス組立てなど、6業種以上の職人さんが入ってきます。各職人さんや会社がとくに安く作業をする理由がありません。無理をさせると2回の工程が1回になったり、下地の処理がおろそかになったりなど、手間を省くことも考えられます。そうなるとチラシで表示している「半分でやります」は必然的に無理だと言えます。すぐ値引きをする会社や「安い」を売り物にする会社には注意する必要があります。

とくに「手間賃(労賃)を安くやります」はたいへん危険なことです。手間を「早く」「安く」は建築の世界ではよい仕事にはつながりません。むしろ「丁寧に」「きちんと」を優先するべきです。

家は見た目が隣と同じでも表面積などサイズは変わります。隣と同じ金額とはなりません。
イラスト/上條夕子

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