はじめに
転換点となった2022年5月の日米首脳会談
また、2022年5月の日米首脳会談で、日米が半導体部門で協力基本原則に合意しました。
この合意はそれほど大きく取り上げられる事はなかったのですが、歴史を振り返り考えてみると、米国の日本に対する姿勢が変化したのではないかと個人的に感じています。
1974年米国は日本に二次鉄鋼自主輸出規制を、1981年4月には日本に対米自動車自主輸出規制を実施し、1986年に日米半導体協定を締結しました。これらの日本にとってマイナスな規制や締結は1970年代から90年代までの日本の成長が煩わしかった米国が、日本の経済的躍進を排除したかったことが要因と考えられます。
米国は日本に規制や価格競争を促し、日本企業を不利に追い込んだ歴史があったように思います。しかし、現在の米国の脅威は中国と感じます。日米首脳会談では半導体のみならず、米国は日本の防衛に全面的な関与を続けるとバイデン大統領は述べています。
前途記載した昨年6月に経済産業省がとりまとめた半導体戦略の資料の中で、日本の半導体産業は1986年には世界シェアが50%を占めていましたが、2019年には10%にまで低下し、2030年には日本のシェアはほぼゼロになると警鐘しています。これまでの凋落などにも触れ、日本も半導体の確保・強化に取り組むとしています。
米中が技術覇権対立の中で、今後は日本企業の強みである製造装置や素材産業の活躍に注目しています。