はじめに
改正点1:老齢給付金の受取開始年齢が5年延長(2022年4月から)
iDeCoで運用してきた資産(老齢給付金)は、これまで60歳から70歳までの間に受給を開始する仕組みになっていました。2022年4月からはこれが「60歳から75歳まで」と、5年延長されます。公的年金の受取開始年齢も2022年4月から、75歳まで繰り下げることができるようになりました(75歳まで繰り下げると65歳時点の年金額の1.84倍に)。iDeCoもこれに合わせたというわけです。
iDeCoの資産は、受け取りを開始するまで非課税で運用を続けることができます。
5年間の延長によって、非課税で運用できる期間も5年増えるため、よりお金を増やせる可能性があるのがメリットです。
年金受け取りは、受け取り開始から最長20年に渡って受け取ることになりますが、たとえば、75歳で年金受取を開始すると95歳まで運用益非課税で運用できることになります。
改正点2:iDeCoの加入年齢が5年延長(2022年5月から)
これまでiDeCoで積み立てができるのは60歳未満の方となっていました。2022年5月からは、加入年齢が5年延長され、65歳未満まで掛金を出すことが可能になります。
ただし、誰もが65歳未満までiDeCoに加入できるわけではありません。次のどちらかの条件に当てはまる人だけです。
(1)会社員・公務員として厚生年金に加入して働く人
(2)任意加入被保険者として国民年金に加入している人
iDeCoは、あくまで「公的年金の上乗せ」の制度のため、国民年金や厚生年金といった公的年金に加入していないと加入できません。
任意加入被保険者とは、国民年金保険料の納付期間が40年に満たない場合に、60歳から65歳までの間に自ら国民年金に加入している人のこと。こちらも、国民年金に加入しているので、iDeCoに加入できます。ということは、国民年金保険料を40年支払っているフリーランスや専業主婦(夫)は、60歳以降iDeCoに加入できません。
条件に当てはまる人は、iDeCoへの加入期間が5年間長くなることで、所得控除の節税効果が5年長く受けられます。さらに、積立総額や積立期間が伸びたことで長期積立分散投資の効果もより大きくなります。
筆者の元には「50代後半ですが、今から入ってもいいものでしょうか」といったご質問をよくいただきます。今回の改正により加入期間が5年長くできるのですから、気にせず加入していただくのがいいでしょう。