はじめに
FTXショックの今後の影響は?
FTXグループ破綻によって、投資家はもちろん、取引先や関連先への影響が懸念されています。FTXが救済を発表していた暗号資産レンディング企業のブロックファイはユーザーからの引き出しを停止し、連鎖破綻が危ぶまれています。また、FTXとつながりの深いソラナ関連プロジェクトは時価総額が軒並み落ち込んでいます。ここからさらに暗号資産市場でネガティブな動きがでる可能性はあるでしょう。
しかし、金融市場への影響は限定的であると予想されます。最近では海外の大手金融機関による暗号資産関連事業への参入が進んでいますが、それでも暗号資産を自己保有する金融機関はほとんどありません。ましてやFTTトークンを担保に資金を貸し出していたような金融機関はありません。幸いなことに、暗号資産市場は金融市場とはまだまだ切り離された市場であるということです。
FTXグループ破綻をきっかけに暗号資産規制が強まることは間違いないでしょう。米国を中心に暗号資産関連企業に対する情報開示制度や資本規制などの厳しいルールが整備されることが予想されます。FTX本体がバハマ拠点であったことを理由に米国が活動を管理しきれなかったことを踏まえると、国際共通規制の必要性も改めて議論されるでしょう。
FTXグループ破綻によって暗号資産市場は氷河期に入ったとさえいわれています。コインチェック事件後の流れを振り返ると、米国において暗号資産規制がきちんと整備されるまでは相場も弱い状況が続くかもしれません。しかし、日本では他国と比較して暗号資産に関する法整備も進んでいます。その意味では日本が暗号資産(もっといえばWeb3)で海外との遅れを取り戻す絶好のチャンスなのかもしれません。