はじめに
【解決策】説得力のあるデータと政治的リーダーシップで決まる
公平と効率の問題を解決するには、どうすればよいでしょうか。
解決策その1 客観的な情報に基づく資料の作成
公平と効率のどちらかを重視しなければならない場合、当然のことながら、この判断は、最終的には各人の根本的な考え(価値観)の問題となり、理屈で解決できるものではありません。公平な社会の理想像は人によって異なりますし、所得格差や貧困の問題と同じく、受け止め方もさまざまです。
しかし、この価値観より導かれる結論に対する客観的な根拠は、必ず提示しなければなりません。ICT(Information and Communications Technology=情報通信技術)の進展により、役所がもつ膨大な情報(ビッグデータ)の処理も可能となりました。計算結果を利用することによって民主的で冷静な話し合いができ、より公正な判断を導き出すことが可能になります。
解決策その2 政治的リーダーシップの発揮
公平と効率をどのようにバランスさせるかという問題意識をもって地域のさまざまな問題に立ち向かうのが政治の役割です。地域の事情や、公平と効率のバランスを考慮して決断し、住民に十分な説明を尽くすのも、政治の役割です。
実際の家賃補助の最終的決定は、論理的な計算結果ではなく、政治的決定によってなされなければなりません。
公平と効率の問題は、2021年度のコロナワクチンの接種においても発生しました。
当時、河野太郎行政改革担当・新型コロナワクチン接種推進担当大臣は、「悪いのは私だ。自治体が思った以上に『公平性』を重視することに気付かなかった」という発言をしました。
公平と効率のバランスの問題はこれからも出てくると思いますが、冷静な議論を重ねることと政治判断で解決するしかありません。