はじめに

生命保険料をまんべんなく

生命保険の控除証明書を提出して、生命保険料控除を受けている方は多いですが、この仕組みを理解して効率よく控除を受けている方は少ないようです。効率の良し悪しは、控除が受けられる限度額を理解しているかどうかにかかっています。

平成24年以降に契約したものであれば、「一般・介護医療・個人年金」という3区分に分けて、それぞれの区分ごとに8万円以上かけると4万円の控除が受けられます。逆にそれ以上かけても4万円しか控除を受けられないということです。

3区分のうち「一般」という区分の保険商品に掛けている方が多いので、一般に8万円以上かけているのであれば、特約を外すなどして8万円前後にして、他の区分に掛けていないのなら、「介護医療」や「個人年金」の区分に一部を移すというのもよいかもしれませんね。

ここで節税している人としていない人の比較をしてみましょう。保険に3つの区分があることを知らず、いろいろな「一般」区分の保険商品にばかり入っている方は、どんなにたくさん拠出しても、1年分の税の計算をするときは所得税においては4万円の所得控除しかありません。また、住民税の控除金額は最大2万8,000円の控除です。

1区分ごとの節税効果は税率が所得税5%の場合と住民税10%で両方合わせて4,800円ですが、これが毎年となると積もり積もって大きくなります。

(所得税)4万円 × 5% =2 ,000円
(住民税)2万8,000円 × 10% = 2,800円

1区分しかかけていなかった生命保険を3区分ともにかけることで、4,800円の倍である9,600円もの税金が毎年安くなることになります。細かいルールについて詳細は、過去の連載をご覧ください。

実家の親に仕送りをしているなら

以前ご相談を受けた方が、「一人暮らしの実家の母が、高齢になり年金生活に。年金の少ない金額でなんとか生活しているが、父がいた頃と比べると生活がかなり質素になってしまった。苦しそうな母の生活をみていられず仕送りを始めた」という状況なのに、扶養控除を受けていないとおっしゃっていました。なんて……嘆かわしい!

扶養控除は収入の少ない家族を養っている場合、38万円の控除が受けられます。65歳未満の親なら年金収入のみ108万円以下、65歳以上の親なら年金収入のみ158万円以下なら扶養になります。

しかも、年末時点で70歳以上の扶養家族なら特別ルールがあります。その年の12月31日現在の年齢が70歳以上の家族を養っている場合、「老人扶養親族」と言って所得税の計算時に同居しているなら58万円、離れて暮らしているなら48万円もの控除が受けられるのです。

画像:国税庁「No.1180 扶養控除」より引用

同居していなかったとしても、節税効果は合計62,000円もの税金が毎年安くなるのです、大きいですね。

(所得税)48万円 × 5% = 24,000円
(住民税)38万円 × 10% = 38,000円

なお、親を扶養に入れる場合、離れて暮らす親が一人暮らしで非課税世帯となっている場合、年金生活者支援給付金や自治体の非課税世帯に対する給付金を受けていることがあります。

勝手に扶養に入れてしまって、給付金がストップしてしまい、家族間でトータルすると損になってしまい「なんて……嘆かわしい!」とならないよう、節税効果がどのぐらいか、いくらの給付金を受けているか、必ず確認してから扶養に入れるかどうかを判断してください。

自治体の給付金などが親のところに入っておらず、課税される所得の金額が195万円以上で所得税率が10%以上の区分に該当される場合は、扶養に入れた方が有効でしょう。

結婚するタイミングも税金に影響

「年が明けたら結婚しよう!」「はい、喜んで!」

プロポーズが大成功、なんて……喜ばしい! でも、年内にしないなんて、なんて……嘆かわしい!

配偶者控除をご存じでしょうか? 結婚するお相手の給与収入が年間150万円以下なら38万円の控除、150万円を超えても188万円以下なら配偶者の特別ルールでの控除があります。

38万円の控除があった場合、合計52,000円もの節税効果となります。

(所得税)38万円 × 5% = 19,000円
(住民税)33万円 × 10% = 33,000円

1月1日に婚姻届を出すか、12月31日に婚姻届を出すかで、5万円以上の税金が安くなるのなら、1日早めた方がお得ですよね。なお、給与収入が年間1,120万円を超えると控除額が減少し、1,220万円を超えるとこれら配偶者の控除は一切ありません。

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