はじめに
給与以外の還付対象となる収入
また、源泉徴収で引かれ過ぎた税金を取り返すことができるのは、給与収入がある方だけではありません。国税庁によると、作家に原稿料を支払う場合や、大学教授などに講演料を支払う場合などは、「報酬」として所得税を源泉徴収しなければなりません。
弁護士や公認会計士などの士業、スポーツ選手やタレントなどもこれに該当します。私も松竹芸能から入るタレント報酬はキッチリ源泉徴収されていますし、プロだけではなく、一度だけ「原稿書いてください」とか「講師としてしゃべってください」と依頼を受けた方もこの制度が適用されます。
つまり、これらの方々は、報酬の金額の10.21%が源泉所得税として事前に引かれ、残りの報酬が支給されるということです。この10.21%という税率はざっくりとした税率ですので、本来のその人の税率ではありません。
確定申告でちゃんと計算する場合、所得税は一番低い税率なら5%からスタートします。
「所得 − 控除」の引き算をして残った金額が、税率をかけることになる「課税される所得金額」になります。この課税される金額が195万円までなら税率が5%のところだけで収まります。つまり、この範囲内で収まる方は、10.21%は納めすぎということになりますので、申告をするとその分が「還付」されることになります。
まだそんなに多く稼いでいないフリーランスの方は、申告の必要がない金額でも、このような還付を受けることでかなりの金額が手元に入ることがあります。還付しそびれると「嘆かわしい!」ですね。
以前、先輩芸人さんの申告の相談を受けた時のことです。
儲けが少額だからと、過去3年分を確定申告しておらず、初めて確定申告をされました。なんと、毎年5万円ずつの還付を受けて、15万円もの臨時収入が入ったと喜んでおられました。その先輩は「なんで今までしてこなかったんだろう……これから毎年、確定申告します!」とおっしゃっていました。なんて……喜ばしい!
控除が追加されることで還付申告になる代表的なケース
先述したように、確定申告で「控除」が追加される場合は、税額が減るので「還付申告」になります。代表的なケースについて見ていきましょう。
・医療費控除を受けたい場合
医療費控除は年末調整では行えず、自分で1年分の医療費の領収証をかき集めて申告しなければなりません。同一生計の家族分を合計でき、共働き夫婦など扶養の範囲内でなくてもOKです。
トータル10万円超えていれば医療費控除が受けられます。家から病院までの交通費も足し忘れないでください。医療費控除を受けられる方は、こちらの記事もあわせてご覧ください。
・住宅ローン控除の一年目
昨年、住宅ローンを組んで新居に住み始めた方や増改築された方は「住宅借入金等特別控除」という控除があります。これは、住宅ローンなどを利用してマイホームを新築、取得や改築などしたときに、そのローン残高に応じて税金の控除が受けられる制度です。
最初の年は、その住宅ローンが本当に控除の対象かどうか内容を細かくチェックされるため、提出しなければならない書類があり「所得税の確定申告書」に必要事項を記載して、指定の提出書類と一緒に提出をしなければ1年目の控除を受けることができません。
- 住宅ローン借入残高証明書
- 土地建物の登記事項証明書(登記簿謄本)
- 建築請負契約書、売買契約書のコピー(土地と建物両方の取引がわかるもの)
- 住宅性能を示す書類(必要な場合のみ)
これらをもとに「住宅借入金等特別控除額の計算明細書」を作成して、確定申告書に添付して提出します。2年目以降は年末調整で、下記2つを提出するだけでOKです。
(1)年末調整のための(特定増改築等)住宅借入金等特別控除証明書兼給与所得者の(特定増改築等)住宅借入金等特別控除申告書
(2)住宅取得資金に係る借入金の年末残高等証明書(住宅ローン残高証明書)