はじめに
職域でのマネー教育は、確定拠出年金が登場した約20年前から普及し始めました。確定拠出年金法に「投資教育の提供は事業主の努力義務」という規定がおかれたことがきっかけです。ビジネスパーソン1万人アンケートでも、確定拠出年金の加入者と非加入者とで受講率に差が見られます(図表4)。
図表4:確定拠出年金(DC)の加入者と非加入者の受講率
「老後資金」「投資の基礎」の分野で、加入者の受講率の高さが目立ちますが、それ以外の分野でも差があり、確定拠出年金はマネー教育全般に影響を及ぼしていることがわかります。
ただ、「老後資金」「投資の基礎」でも加入者の受講率は25%前後にとどまっており、少し低いと感じます。少なくとも過半数は超えてほしいところです。今般NISAの制度拡充が発表されましたが、確定拠出年金でも思い切った限度額の拡大があれば、受講率はもっと高まるでしょう。
役に立った分野も「老後資金の形成方法」と「投資の基礎知識」
ではこうした教育には効果があったのでしょうか? それを見たのが、次の図表5です。「老後資金」「投資の基礎」は60%以上の人が役に立ったと回答しています。
今後、充実させて欲しい分野についても質問をしました(図表6)。これは、職域マネー教育を受けた人だけではなく、受けていない人にも聞いてみました。前者の結果は緑色、後者は紫色で示しています。ここでもやはり、「老後資金」「投資基礎」が人気です。この両分野はテクニカルな要素が多いため、人に教えてもらう価値が高いということかもしれません。