はじめに

ウェルビーイングの要素としてのマネー教育

ところで、企業はなぜ、わざわざマネー教育を提供してくれるのでしょうか? それは従業員のウェルビーイングを高めることにつながるからです。
お金については、ある程度の知識がないと不安になってしまいますね。結婚して子どもを育てるにはどれくらいのお金がかかるのだろう。もし、病気で働けなくなったら生活していけるのか。老後資金を貯めるよう勧められるが、毎月いくら積み立てるべきか。お金の不安をあげればきりがないです。

前回のコラムで日本人は「経済的に安定していないと幸せではない」と回答する人が欧米人と比べて多いというデータを紹介しました。その背景には、お金に関する知識が乏しいがゆえに不安感が大きくなるという関係があるはずです。

ウェルビーイングを高めるうえでは、健康や私生活の内容、仕事の充実などが大きく作用しますが、忘れてはならないのがお金です。ウェルビーイングはGDPに対するアンチテーゼとして登場した背景があるため、お金の問題は外して語られる傾向がありますが、それでは不十分な枠組みになってしまいます。お金はウェルビーイングの必須要素です。給与や資産の大小よりは、お金に関する知識、つまり金融リテラシーが特に重要になります。

ウェルビーイング経営は、いまや多くの企業が標榜するテーマです。そして、マネー教育はウェルビーイングを高める上で重要な部品にあたります。皆さんもこうした背景を知ったうえで、会社が提供するマネー教育には積極的に参加されるといいでしょう。

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