はじめに

変化の時代には「両利きの経営」が重要

自分の資本を蓄積していくときに、すでに持っている資本をさらに増やしていくべきか、新しい資本を蓄積していくべきか迷うことがあります。もちろん、きちんとしたキャリア戦略を立てているので蓄積すべき資本は明確になっています。しかし、すでに持っているものを増やす「タテ」が先か、新しいジャンルを広げる「ヨコ」を先にするのか、優先順位をつけるのが難しいのです。

ここ数年、経営学では、企業がイノベーションを成功させるためには「知の深化」と「知の探索」を同時に進める「両利きの経営」が重要であるといわれています。つまり、タテもヨコも同時に取り組んでいかなくてはならないということですね。

「知の深化」とは、既存の事業をより成熟させていくことです。業績を挙げている事業において、それをより成長させていくことで企業を安定させることができます。これがタテに増やすということです。

一方で「知の探索」とは、冒険的な新規事業に取り組んでいくこと。既存の事業がいつまでも好調であるとは限らないため、新しい売上の軸となるビジネスを育てていくことも、将来的な経営を安定させるためには欠かせないことです。また、企業のさらなる成長のためにも、多少は冒険的であっても新規事業の開拓に力を注いでいかなくてはなりません。これがヨコに増やすことです。

「自分」という企業の経営者であるあなたも同様で、知の深化で安定を図りつつも、知の探索で新しい可能性を探っていく必要があります。目の前の仕事や専門性にだけ注目していると、どうしても知の深化にのみ力を入れてしまいがちです。

知の探索は、自分でも気付かなかった自分自身の魅力や適性を発見することにもつながります。これがとても重要で、プロティアン・キャリアは「永遠のβ版」と説明したとおり、一度決めた戦略であっても、途中で気付きがあった場合に戦略を変えていくことはまったく問題ありません。むしろ、それこそが「変幻自在」なプロティアンの真骨頂です。

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