はじめに

「投資信託」はどんなもの?

酒井:あの~…先生、前回少し教えていただいたと思うんですけど、その「投資信託」ってどんなものなんですか?

有野:そうそう、なんでお金に詳しい先生が、値段の上がり下がりを気にしないんですか?

山中:まず、株式投資で初心者の方がつまづくのが、いったいどんな銘柄を購入したらいいのか……つまり銘柄選びです。個別銘柄を買うときは、業績がいいとか、優れた商品やサービスを開発して将来性があるとか、指標的に割安だとか、さまざまな理由で選ぶわけです。

有野:簡単に言うと、繁忙期がある会社やったら、株価が下がっていそうな閑散期に買っておく、みたいな事なんやろうけど、それってみんなより詳しく先を見越せる部分も大事でしょうね。

酒井:人より詳しいものかぁ〜。

有野:僕やと、人より詳しいのはゲーム、漫画、アニメとかになるかな。この漫画がアニメ化される、って情報が入って、制作会社が発表されたら、それが優秀な制作会社やったら、その会社の株を買うと、普通の方より早くは買うことになるんやろうけど……諸問題があって、その会社がそのアニメ制作から降りる、って場合もあるからねー。やっぱり先が読めないのが怖いなぁ。でも、いい銘柄を選べるようになるには、何年も調査してノートに書いてって、たくさんたくさん勉強しないといけないんですよね?

山中:そうですね。業績が良ければ絶対に株価が上がるのかというと、そういうわけではありませんし、「これだけを勉強しておけば大丈夫!」というものは残念ながらないんです。

有野:そうですよね、だから株式投資には手をつけてないんですよね。

酒井:あれ? この前、「NISAとiDeCoの口座開設の手続きだけで、怖くなって止めた」って言ってませんでしたっけ?

有野:覚えてたか! 今日勉強してNISAからはじめて、株式投資まで行ってやろう、って思っててん。でも、やっぱり話を聞くと難しそうやなぁ。

山中:そうですね、自分でいい銘柄を探すのは簡単なことではありません。だから、その勉強とか分析は、プロに任せてしまうのもひとつの手なんです。

有野:プロって言っても、絶対はないですよね。失敗することもありますよね? 預けて投資してもらった先が、軒並みバタバタって倒産したら、どうなるんですか? 老舗のお店も倒産するのも珍しくないくらいずっと不況やし、先が全く見通せない状況になってるし。

酒井:不吉なこと言わないでくださいよ……でも、どうなるのか気になる。

山中:企業が倒産すると、その企業に投資したお金はゼロになってしまいます。ただ投資信託は、一つの大きな袋だとイメージしてください。その袋の中には、投資のプロが選んだ数十とか数百、数千の企業が入っています。その袋の中の数社が傾いてしまっても、他の会社が元気だったら、袋全体でみたら大きな問題ではないんですよ。

酒井:そんなにいっぱい!?

有野:なるほど! 競馬で全部の馬に単勝賭ければ、絶対に当たり馬券がある、みたいなもんや。でも、全部に賭ける分、少しずつお金は減っていくけど。

酒井:先生、このたとえ、あってますか?(笑)

山中:ちょっと違うと思います(笑) でも、株式投資では、ひとつの銘柄に投資するだけでも大きな金額が必要になりますし、投資先が限られると、その浮き沈みに影響を受けるので、それこそ毎日値段が気になってしまうと思います。ただ、複数に投資してリスクを分散するというのは個人では、しかも初心者ですととても難しいですよね。

有野:分かった、だから初心者は値段を気にせずに持っていられる投資信託がおすすめって事や! 数千にも投資してるから、初心者やとその株価を全部見てられへん、どこをどう見てもいいか分からへんし。だから株のプロに任せて安心! でもなぁ、顔も知らない人にお金を預けるのは不安やねん。

酒井:有野さん、それ前回と全く同じこと言ってますよ(笑)

有野:この3週、何を聞いててんって話やな。

次回(1月31日配信予定)はもう1つの制度「iDeCo」について聞いていきます。

有野晋哉
1972年2月25日生まれ。大阪府出身。テレビやラジオ、CM、雑誌の連載などマルチに活躍。コンビで公式YouTube「よゐこチャンネル」も開設しており、幅広い世代から支持を得ている。自身が50歳を迎えた2022年に、お金にまつわる知識の大切さに目覚め、日々勉強中。

酒井瞳
1989年5月3日生まれ。宮崎県出身。2008年4月に女性アイドルグループ「アイドリング!!!」に14号として加入し、2015年10月に卒業。その後は地元・宮崎県に関わる活動や、テレビやドラマ、YouTubeなど活動の幅を広げている。2022年2月よりジムでパーソナルトレーナーを開始。また、同年に故郷の宮崎県延岡観光大使に就任。 アイドル専用ジム「iウェルネス」ではトレーナーとしても活動している。

山中伸枝
心とお財布を幸せにする専門家 ファイナンシャルプランナー(CFP)、株式会社アセット・アドバンテージ 代表取締役、FP相談ねっと 代表、一般社団法人公的保険アドバイザー協会 理事。 1993年米国オハイオ州立大学ビジネス学部卒業後メーカーに勤務。これからはひとりひとりが、自らの知識と信念で自分の人生を切り開いていく時代と痛感し、お金のアドバイザーであるファイナンシャルプランナー(FP)として2002年に独立。年金と資産運用、特に確定拠出年金やNISAの講演、ライフプラン相談を多数手掛ける。 執筆:金融庁サイト 有識者コラム連載、50歳を過ぎたらやってはいけないお金の話(東洋経済新報社)、ど素人が始めるiDeCo(個人型確定拠出年金)の本(翔泳社)他

ライター:新井奈央 / 写真:文化工房

この記事の感想を教えてください。