はじめに

安全資産の「ゴールド」の特徴

ゴールドは 価値を保存する石です。

率直に言ってゴールドを持っているからといって、基本的には何も生み出しません。ゴールドを1kg保管していたら10年後に2kgになっているでしょうか? あり得ないですね。配当も全くありません。

株式や債券や現金といった、そのほかの商品の価値の上下により、相対的にゴールドの価値が上がったり下がったりするだけですね。

いわゆる「安全資産」としては最もよいものになるでしょう。

みんなが「価値がある」と思っているものに対し、価値が生まれるのですから。みんなが安全資産だと思っているものに対して、安全資産としての価値が生まれるのです。ただし、実際には安全資産というよりも 「低リスク資産」 と言ったほうが正確であることには留意しましょうね。

ゴールドを保有する場合は、投資信託やETF が便利でしょう。ウェルスナビでは「GLD」というETF が採用されていますね。基本的にはGLD を推奨しておきます。

投資信託であれば、純金上場信託(現物国内保管型)(銘柄コード1540)という手もありますね。

第三次世界大戦など本当に有事の際にはゴールド(金塊や装飾品など)を現物で買って自宅の地下にでも埋めたほうがいいのかもしれませんが……。

株式だけでなくゴールドを買う意義

伝統的に用いられてきた資産クラスは「株式・債券・ゴールド・不動産(と現金)」ですね。ウェルスナビ的なポートフォリオです。

長期リターンは株式が最もよいので、基本的には 株式を中心にポートフォリオ を組むといいと思います。ただし、リスク分散も兼ねて東大ぱふぇっとはゴールドへの投資も行っています。

ゴールドを買う意義を一言でいうと、 「ドル安で儲かるポジションを取る」 ということです。現在、新型コロナによる金融緩和でドルが大量に刷られているので、基本的にドルは安くなっていく素地があるでしょう。すべての米ドルの約20% は2020 年以降に発行されています。当然ですが、お金の量が増えれば、お金の価値は下がります。お金の価値が下がったら、同じゴールド1kg を買うにしてもたくさんのお金が必要になります。つまり、ゴールドの価格が上がるのです。「ドル安で儲かるポジションを取りたいが、株式100% は怖い」という人はゴールドを買う価値があるでしょうね。

日本円である「現金」の特徴

資産額が数億円に達しているのであれば、世界各国のさまざまな通貨を保有する手もありますが、ここでは基軸通貨であるドルと、生活費を支払う通貨である「日本円」について言及します。

この読者は、基本的に米国株式への投資を中心に行う投資家でしょうから、資産の大部分を米ドルに依存していることになります。すると、 強いて「米ドルへの投資」をする必要はない でしょう。

以下、ここでは「現金=日本円」として述べていきます。

日本で暮らし、税金の支払いを行っている場合は、基本的に日常生活において日本円を使って物やサービスを買うことになります。その意味において、日本円は非常に重要な資産となります。

いくら 株価が暴落しようと、日々の生活を営むためには日本円が必要 です。その分は極力キープすべきです。これこそが 生活防衛資金 と呼ばれるものですね。

現金を銀行に預金しても、ご存じのように超低金利時代ですので、一般的には現金が価値を生むとは考えにくいですね。

推奨するポートフォリオのまとめ

資産形成期において、基本的には 「株式へのフルインベストメント+生活防衛資金としての日本円」 というポートフォリオを推奨します。

一定の生活防衛資金は極力持つようにしましょう。「株式を買いすぎた上に暴落が重なったので住宅ローンを払えない」とかは絶対ダメですよ!

結婚式を挙げたい、家を買いたい、残りの運用期間が短いなどがあり、ある程度の低リスク資産を保有したい場合には債券やゴールド、現金を保有するとよいでしょう。

株式保有比率を変えるための5つの手法

ダナハーちゃんどういうときにリスクを下げたほうがいいいのかわかったし、どういう資産が低リスク資産なのかもわかった!

東大ぱふぇっとここからは、具体的にどのようにリスクを管理するのかを解説していきますね。東大ぱふぇっと流の時間分散の概念を用いた「出口戦略」についても解説していきます!

リスク管理の2つの方法

株式は高リスク資産 であり、 債券やゴールドや現金は低リスク資産 ですね。このため、基本的には「株式と株式以外の資産」の比率を調整することがリスク管理の主な手法となります。

また、株式の中でもリスクの高い株式とリスクの低い株式が存在したり、なるべく世界中の株式に分散してリスクを減らしたり、 投資する株式の内訳を調整することでリスクをコントロール することもできます。

まずは、1つ目の「株式と株式以外の資産」の比率を調整する手法について、次に2つ目の「株式自体のリスクの調整」について述べていきますね。

株式と株式以外の資産

リスクを下げるべき状況下では、まずは低リスク資産の割合を増やすのがいいでしょう。

具体的な手法は、以下のものが考えられ、順番に見ていきましょう。

(1)株式を売却して現金化する
(2)株式を売却して債券やゴールドを購入する
(3)積立投資を一時的に停止して日本円の預金を増やす
(4)積立投資対象を債券やゴールドに切り替える

(1)株式を売却して現金化する

真っ先に思いつくのは、株式の売却でしょう。

自身のリスク許容度が変化した場合は、株式を売却するべきです。

ただし、このときに重要なのが 「含み益に対しては20% 程度課税される」 という点です。税金は売却時に即支払わなければいけないので税金の分、運用元本が減ってしまいます。売却せず利益を確定しなければ、税金支払いは将来に繰り延べられますので、その分大きな元本で運用を続けることができ、複利の恩恵を受けることができます。

つまり、 含み益の約20% を複利運用し続ける権利を失う機会損失も考慮 する必要があります。

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