はじめに
確定申告のメリット「配当控除」
確定申告をするメリットは、税率が下がるだけでなく「国内株式の配当金」について、「配当控除」という税金が安くなる特別ルールがあるので、保有しているのが国内株式であればさらに税金の還付額が増えます。
この「配当控除」は、日本の企業が儲けた分に対しては国に法人税を納めていて、その税金がかけられた儲け分を株主に分配しているのに、さらに株主が受け取る配当金にまで所得税を課税すると、法人税の上に所得税を2重に課税していることになるので、企業が法人税を払ってくれている分については株主の方で所得税を納めなくていいですよ、という意味で「配当控除」という特別ルールが設けられているのです。
配当控除で引いてくれる金額は、個別の国内株式の場合は配当所得の10%です。投資信託の場合は5%になりますが、信託商品でも国内の株式に投資している割合が少ないとこの率が2.5%、1.25%とどんどん下がります。日本の個別株を持っていて配当を受け取った方は、配当金に対して10%もの所得税が還付されますので、確定申告して還付を受けたいものですね。
なお、所得税・住民税の税率と配当控除との兼ね合いを見ると、所得税率が33%以下で、なおかつ配当控除の10%をまるまる受けられる方は、確定申告をした方が有利になります。配当控除は、所得金額1,000万円以内の部分はまるまる10%の控除を受けられますが、配当所得とそれ以外の所得金額を合計して1,000万円を超える部分は、5%しか控除を受けられません。
給与収入がある方は、会社から発行された源泉徴収票を見て「給与所得控除後の所得金額」を確認して、配当金額を足した金額が1,000万円を超えないかチェックしてみましょう。
確定申告するには?
確定申告をすることになれば、パソコンやスマホで国税庁の確定申告サイトから申告書を作成できます。マイナンバーカードをお持ちの方は、e-Taxの電子申告で提出を行うことができます。
e-Taxを利用して確定申告を行うには、国税庁「確定申告書等作成コーナー」というページにある、「作成開始」ボタンから「所得税」の申告書を作成します。質問に答えながら入力を進め、「給与所得」で源泉徴収票に記載の内容をもれなく入力した上で、「配当所得」についても入力を行います。
画像:国税庁「確定申告書等作成コーナー」より引用
「総合課税」を選択して、「特定口座年間取引報告書」の内容を入力してください。
どんな金融商品をいくら持っているかという内訳を入力する欄では、すべて国内株式であれば「投資法人の投資口」は「0円」と入力すれば、すべての配当について10%の配当控除を受けることができます。
なお、ふるさと納税をワンストップ制度で手続きされた方は、確定申告書を提出するとワンストップの手続きはすべて帳消しにされてしまいますので、「寄附金控除」というところで入力をしましょう。ふるさと納税サイトで寄附金控除に関する申告データや必要な書類をダウンロードできますので、準備して申告してください。
そして、最後に「住民税申告不要制度」の入力を忘れないようにしましょう。この手続きを忘れずに行うことで、住民税の税額は配当金を含めず5%の天引き分だけで済ませてくれます。入力を進めると、最後に「住民税・事業税に関する事項」という画面が出てきますので、ここを入力します。
画像:国税庁「確定申告書等作成コーナー」より引用
その中にある「6株式等譲渡所得割額控除額がある方の入力項目」で、「特定配当等について住民税で申告不要としますか?」という項目がありますので、「はい」を押してください。
最後まで入力して、計算結果が「◯円 還付です」と表示されたら、あとは、住所やマイナンバー、還付の銀行口座など入力を最後まで行い、電子申告で提出または印刷して税務署に提出しましょう。配当に関する税金の還付を受けることができます。
なお、もし計算結果が「◯円 納付です」となったら、確定申告をしないほうが有利な方に該当します。ご自身がどちらになるのかわからない方は、まずは金額の入力だけして、計算結果を確認してみてください。
知っている人だけが得をする「確定申告しなくていいけど、申告してしまおう」というテクニック。税金の還付が思わぬ臨時収入になり「なんて……喜ばしい!」ですよね。
令和4年分の所得税などの確定申告の受付は、2月16日(木)から開始しますが、還付申告は1月からすでに始まっています。自分は該当するかもと思われた方は、ぜひ国税庁のサイトから確定申告に挑戦してみてください。