はじめに
個人が掛金を上乗せ拠出する3パターン
企業型確定拠出年金は、会社が通常の給与とは別に掛金を拠出してくれる点がありがたいところなのですが、なかなか法律上の上限まで従業員に掛金を拠出してくれる会社ばかりではありません。あるデータだと、会社からの掛金は5,000円までが25%、5,001円から10,000円までが25%とあり、10,000円あればありがたい金額と言えそうです。
これは前述した3つのパターンのうち、企業が掛金を拠出する、前払い退職金を選ぶ場合の例です。給与減額方式の選択制の場合は、自分の給与からの切り出しなので、上限いっぱいまで掛金を拠出できるとしている会社が多いようです。
しかし資産運用に対する関心が高まるにつれ、企業掛金の他にもっと個人でも掛金を拠出したいという要望も増えてきました。そこで出てきたのがマッチング拠出とiDeCo併用です。
マッチング拠出は、会社が開設してくれた確定拠出年金の口座に個人の掛金を拠出する仕組みです。掛金は会社の掛金を上回らず、かつ合計55,000円までとなっています。会社の仕組みを利用して上乗せするので、もっとも簡単な上乗せ制度となります。
しかしマッチングは会社が拠出する掛金額を個人の掛金が上回ってはいけないので、人によっては窮屈に思われるようになりました。そこで2022年10月に解禁されたのが、iDeCoの併用です。
こちらは自分でiDeCoを別途開設しなければならず、少し手間はかかるのですが、会社の掛金とあわせ55,000円以下かつ20,000円以下と掛金が選べるので、会社の掛金が少なくマッチングにメリットを感じない方などは特にiDeCo併用を選ぶ傾向にあるようです。なお、DBが併設されている場合は、12,000円がiDeCoの上限です。
マッチングとiDeCo併用は、どちらか一方を選びます。
例えば、給与減額方式の選択制の場合でも、社会保険給付の減少が好ましくない方、自分で投資をしたい商品を扱っている運営管理機関でiDeCoをやりたい方などは、iDeCo併用を活用することができます。その際、自分の給与から掛金を拠出している部分は、区分では「事業主掛金」となるので、ここを35,000円までとし、iDeCoを20,000円上限で掛金を拠出できます。
iDeCo併用分は、税金のメリットはありますが、社会保険料を支払った後での掛金拠出になるので、給付の減額が行われることはありません。
広がった選択肢、上手に活用を
近年確定拠出年金も制度の拡大が行われ、選択肢が広がりました。投資先も広がってきており、企業型においても投資信託のラインナップを見直し、より低コストのファンドに入れ替えを進める会社も増えてきました。
会社の制度はやはり多くの方にとってはメリットが大きいものですから、ぜひ理解を深めて最大限活用していきましょう。