はじめに
キャッシュフロー表を作成してお金の知識を身につけること
なお、ここまでの試算は、単純に一生涯の収支を算出しているだけです。例えば、途中で金融資産がマイナスに転落してしまったとしたら、家計が破綻してしまいます。一生涯にわたって金融資産の額をマイナスにしないためには、キャッシュフロー表を作成して確認するのが有用です。キャッシュフロー表とはお金の流れを表にしたものです。日本FP協会のホームページでは「将来の収支が予想できる 家計のキャッシュフロー表」をエクセル形式でダウンロードできますので参考にしてください。
キャッシュフロー表を作成することと同様に重要なことがお金に関わる知識を身につけることです。具体的には、退職金にかかる税金や公的年金の知識についてです。退職金は一括で受け取る時と年金形式で受け取る時は税金のかかり方が異なります。
また、公的年金は制度が複雑なので、特に注意が必要です。例えば60歳での退職に合わせて年金を60歳から繰上げして受け取ればなんとかなる、と考えることもあるかもしれません。その場合、年金の減額率が一生涯続くことで年金額がかなり少なくなることや、万が一ケガや病気で障害状態になっても障害年金の請求ができない、などマイナスの影響もあります。正しい知識がないばかりに安易に判断してしまうと後悔してもしきれません。
そのために知識をつける、あるいは、適切な判断ができるか不安がある時は、正しい知識を持つ信頼できる専門家に相談することも有用です。誰が信頼できる専門家であるかを判断することも難しいかもしれませんので、普段から雑誌やインターネットで発信している専門家の記事などを参考にして相談相手を探しても良いでしょう。
以上のことをお話ししたところ、60歳でのリタイアが必ずしも実現不可能ではないことが分かり安堵されたようです。また、早急に退職金の制度や受け取り方、個人年金保険を含めた保険資産の詳細、夫婦の公的年金の受給見込額を確認してキャッシュフロー表を作成したいとご依頼をいただきました。これから60歳完全リタイアを目指して課題や対策を一緒に考えていくことになりました。