はじめに
都心部の不動産価格が高騰している昨今。それでも「やっぱり我が家を持ちたい」という思いは、地方・都心関係なく、需要があることを感じます。個人相談を受けると、筆者と同じくらいの年代の夫婦は、計画的な住宅購入を考えている方がとても多いことも事実。
さて、今年も残すところ、あと少し。確定申告について考えるのは、少し気が早いかもしれない、と思うことはありません。
今回は、新たに住宅ローンを組まれた方、そしてこれから住宅購入を検討されている方も、知っておいて損はない「住宅ローン控除」について具体的に確認していきましょう。
「住宅ローン控除」とは?
この制度をわかりやすく説明すると、「なにかとお金のかかる20代~40代のみなさん! 税金を減らしてあげるので、ぜひ住宅を購入してくださいね。もちろん投資用など生活拠点ではない物件はダメですよ。また、すごくお金を稼いでいる人は除外します」というものです。
同控除の恩恵を受けるために、年齢は関係ありませんが、多くの方は人生のうちに住宅購入を何度も行うことはなく、「結婚を期に」「子供が産まれたから」といったタイミングで検討されることが、ほとんどでしょう。
家族で暮らすために大満足な住宅を手に入れたいと思うものの、教育費負担までを考慮すれば、数千万円の借金を作ることはそう簡単なことではありません。子供を生むことを躊躇してしまう人もいらっしゃるかもしれません。
加えて住宅建設・販売は、大きな経済市場として国益を支えているという背景から、政府は両者ともに政策を施し、恩恵を与えてでも守りたい存在なんですね。
このような背景もあり、この「住宅ローン控除」は、1972年の前身「住宅取得控除制度」から、約45年間続く“ポピュラー”な存在になりました。
さらに近年、一定のリフォームを行った場合でも、改装費用に対しての税額控除がはじまり、住宅にまつわる費用は多くが減税対象となっています。
住宅ローン控除、その金額と条件
住宅ローン控除額は、購入する物件の条件によって変わってきますが、次の通りです。
適用期日 | ~平成26年3月 | 平成26年4月~平成33年12月※1 |
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最大控除額(10年間合計) | 200万※2(20万円×10年) | 400万円※2(40万円×10年) |
控除率、控除期間 | 1%、10年間 | 1%、10年間 |
住民税からの控除上限額 | 9.75万年/年 | 13.65万円/年 |
主な要件 | 1:床面積が50平米以上であること 2:借入金の償還期間が10年以上であること |
※1 平成26年4月以降でも経過措置により5%の消費税率が適用される場合や消費税が非課税とされている中古住宅の個人間売買などは平成26年3月までの措置を適用。
※2 長期優良住宅、低炭素住宅の場合はそれぞれ300万円(~平成26年3月)、500万円(平成26年4月~平成33年12月)。出典:国土交通省 すまい給付金
政策によって、いつまでという時限措置で控除額が細かく変更されています(詳細はこちらを御覧ください)。基本的には、「年末借入残高×1%×10年間」とご存知の方も多いはず。
上限は年40万円(つまり年末借入残高は4,000万円を上限とみなし)、低炭素など優良住宅認定を受けた場合は年50万円(同じくみなし5,000万円)となります。
こう聞くと「40万円×10年=400万円の減税効果がある」と思われる方がいます。しかしこれはあくまでも“上限”です。この上限額を実際の減税額とするためには、以下の2つの条件をみたすことが必要です。
・年末借入残高が、10年間常に4,000万円以上
・所得税および住民税で、上限額40万円を相殺する額の所得がある
こうみると、一般的な企業勤め人で当てはまる方は、そう多くはいないでしょう。