はじめに

数年間のパフォーマンスではアクティブ型に軍配

山中:もう1つ、アクティブ型とインデックス型と比べた場合に、大きな違いがあるんです。何だかわかりますか?

有野:えぇ、なんやろ? アクティブは積極的って意味ですよね、それって、オタクの僕からしたら、体育会系で、異性とのやり取りが積極的な「肉食系」なので、アクティブ型をやってる人は色黒で歯が真っ白の人が多い! んで、インデックス型を選ぶ人は草食男子で、色白猫背が多い!

山中:確かに一昔前まではよく耳にしましたけど、いまは肉食系とか草食系って、あまり聞かなくなりましたね。最近は「蛙化現象」って言葉が流行っているみたいですよ。

有野:流行ってますね。好きな人の嫌な部分を見てしまって、「もう帰ろうかな……」っていうやつでしょ、「帰るか現象」。

山中:ちょっと違いますね(笑) 男の人のことが好きで追いかけていたのに、その彼が振り返って両想いになった途端、気持ちがさめて「気持ち悪い」って思っちゃう現象のことらしいです。「カエルの王様」っていう話が元になったものらしくて。

有野:そっちですかぁ〜、どっちか分からんけど。意味はそんなに変わらへんけど、「カエルの王様」に由来する、ってのが大事なんやろうな。僕らの世代の感覚じゃわからんもんですね。そしたら、女の子が色々わがまま言うて、男どもが一生懸命それに答えて、「よし、俺が付き合えるぞ!」って思ったら、「月に帰らないと行けないの」って言い出す。そもそも気がないなら先に言うとけや、って意味の「かぐや化現象」もあるんちゃいますか? ……あれ、なんの話でしたっけ?

山中:あら失礼。アクティブ型の投信とインデックス型の投信の違いについてですね。それは、コストの違い。アクティブ型はインデックス型より、一般的に信託報酬などのコストが高いんです。

有野:え、そんなのアクティブ型がズルいじゃないですか! なんで同じ投資信託やのに、アクティブ型はコストが高いんですか?

山中:それは、インデックス型は指数に組み入れられている銘柄を買うだけなので、プログラミングで機械的に組成できてしまいます。それに対しアクティブ型は、ファンドマネジャーをはじめとした運用チームが調査や分析、銘柄選別を行うので、人件費がかかるからです。

有野:あ、このテーマの初回に出てきた投資のプロや! なるほど、目を見張らせてる人らがついてくれてるんですね。でもそんだけ人にお金かけてるのに、インデックス型より儲かってないアクティブ型投信が多いって、あんまり感心できない話ですね。

山中:投資信託には、販売手数料とは別に、毎年、投信の維持や管理に必要なコストとして「信託報酬」が取られます。インデックス型とアクティブ型では、この信託報酬に1%前後の差があるようです。「たかが1%くらい」と思われる方もいるかもしれませんが、信託報酬は毎年差し引かれるわけなので、10年間では10%以上の差になるんですよ。

有野:えー! 報酬って、こっちがもらえるのと違うの? いや、そっちが働いてくれてるから報酬であってるのか。でも先生、ここまでの話やと、アクティブ型はいいところなしって感じですよ?

山中:これまではアクティブ型のマイナス面に目を向けてきたので、そんな印象になるかもしれませんね。でも、アクティブ型も捨てたものではなく、ここ数年間の利回りで比較すると、原油や商品に投資をする銘柄を除くと、上位はほぼアクティブ型投信で占められているんですね。10年、20年とほったらかしで投資をするならインデックス型がベターかもしれませんが、アクティブ型の投信の中には投資哲学がしっかりしたところもあって、そこに共感して投資をするというのもひとつの手法です。

有野:うわ~、結局そうなるとアクティブ型はリスクはあるけど、ハイリターンで、プロが見張ってくれてる。でも毎年報酬を引かれる。インデックス型はリスクは少ないけど、リターンもアクティブ型に比べて低い。う〜ん、迷ってまうやつやん……。

山中:現在、すべての投信を合わせると6,000本近い数がありますが、そのうち初心者の方が選ぶべき投信と言えるのは、かなり数は絞られますから大丈夫ですよ!

有野:絞れるんですか? それなら何とかなりそう! でも先生、今回はもうお時間です。「かぐや化現象」です(笑)

次回(6月27日配信予定)は「投資信託の選び方」について聞いていきます。

有野晋哉
1972年2月25日生まれ。大阪府出身。テレビやラジオ、CM、雑誌の連載などマルチに活躍。コンビで公式YouTube「よゐこチャンネル」も開設しており、幅広い世代から支持を得ている。自身が50歳を迎えた2022年に、お金にまつわる知識の大切さに目覚め、日々勉強中。

山中伸枝
心とお財布を幸せにする専門家 ファイナンシャルプランナー(CFP)、株式会社アセット・アドバンテージ 代表取締役、FP相談ねっと 代表、一般社団法人公的保険アドバイザー協会 理事。 1993年米国オハイオ州立大学ビジネス学部卒業後メーカーに勤務。これからはひとりひとりが、自らの知識と信念で自分の人生を切り開いていく時代と痛感し、お金のアドバイザーであるファイナンシャルプランナー(FP)として2002年に独立。年金と資産運用、特に確定拠出年金やNISAの講演、ライフプラン相談を多数手掛ける。 執筆:金融庁サイト 有識者コラム連載、50歳を過ぎたらやってはいけないお金の話(東洋経済新報社)、ど素人が始めるiDeCo(個人型確定拠出年金)の本(翔泳社)他

ライター:新井奈央

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