はじめに
教育費はお子さんの考えを重視
お住まいのエリアによっては、中学受験が当たり前ということも耳にします。「周りがみんな塾に行っているから」と有名なところに通わせると、お金に羽が生えたかのように飛んでいってしまいます。
テキスト代のほか、講習費用や合宿やと請求書がどんどんくるので、「予定していた以上に教育費がかさんでしまった」とか、もはやいくら払ったのか分からないと苦笑される方もいらっしゃいます。大切なお子さんの将来のためならば、何がなんでもお金は出してあげたいという想いは理解できますが、それが本当にお子さんのためなのかというのも、もう一度考えたいところです。
小学校高学年くらいにもなると、お子さん自身の考えをしっかりと表現することができるようになります。またそれぞれの個性もはっきりしてきますから、お子さんの特性による進路を考えやすくなるでしょう。
特別に秀でた才能があるのであれば、それを延ばすのが一番ですが、そうでなければ基本的な知識をしっかり身につけることの方が重要です。勉強よりも、スポーツが得意だという子もいるでしょうから、中学受験だけが進路でないかも知れません。
子育ては長丁場ですから、塾代にお金をたくさん使っていては息切れします。私立中学のあとは私立高校、そして私立大学というのが一般的なので、あっという間に1,000万円は授業料としてかかってきます。
これらの費用を、ギリギリの家計から支出してしまうと、やはりどこかで無理が生じてきます。最近は、子育て支援策が充実してきて、高校も無償化が進んでいますが、それでも所得制限や地域による違いがあるものもありますし、かかるお金はかかります。また私立に入れば、子どもであってもお付き合いがあるので、お小遣いも少し上げてあげないといけない、という話も聞きます。
あげくの果てに奨学金を借り、お子さんが初任給からその返済をするなんてことになったら、本当にお子さんのためになっているのだろうか、と考えてしまうこともあります。大人の入り口に立っているお子さんであれば、ぜひ今後の進路はお子さんの考えを中心に、その想いを応援するお金の準備をしていただきたいと思います。
ここでも使い勝手のよいNISAが活躍します。ジュニアNISAが2023年末を持って廃止になるのは残念ですが、両親それぞれがNISAを活用し、早め早めにお子さんの将来のための積立を始めるのが良いでしょう。
人生の折り返しにふさわしいお金の使い方
人生100年時代ですから、高齢になっても元気で働いている方が増えてきました。しかし今の世の中は知識基盤社会ですから、新しい知識や情報技術を習得しなければ、納得感のある収入を得ることが難しい時代でもあります。働く場はあるけれど、働く質はそれぞれだということです。
40代はまだまだ若いとはいえ、現役としては折り返しにさしかかっているわけですから、このあたりでしっかり自分の仕事スキルの棚卸しと、次につながるキャリアの構築にも取り組まなければならないのではないでしょうか?
であれば、支出がかさむ家計ではありますが、リスキリングに十分な資金投下ができるよう、家計を見直す必要もでてきます。お子さんの教育費については前述しましたが、自分自身への教育費もまた重要であるということです。
その際、60歳以降の挑戦資金に特化したiDeCoはしっかり活用したいところです。毎月の掛金は全額所得控除になりますから、支出がかさむ40代にとってはありがたい節税でしょう。
企業年金がない会社にお勤めの方は、月23,000円が、企業年金がある会社にお勤めの方は、企業型DCのみの場合は月20,000円、それ以外は月12,000円がiDeCoの掛金として拠出ができます。また2024年12月以降はDC、DBといった企業年金と併せて合計55,000円、かつiDeCoは20,000円を上限として拠出できるようになります。
支出の配分に注意する
なにかと支出がかさむ40代ですが、だからこそ何にお金を使うのかを精査したいところです。人生経験を積んできたからこそ、ご自身の人生で大切なものはなんなのかもお分かりかと思います。
周りに振り回されず、お金に振り回されず、しっかりとした資産形成に取り組む参考にしていただければ幸いです。