はじめに

「好奇心」が中期投資のキーポイント

藤川:デイトレとは別に、1日だけではなく数日~数週間で買ったり売ったりする「スイングトレード(スイング)」も、個人投資家に人気の投資スタンスです。

有野:デイトレと何が違うんですか?

藤川前回、何らかのニュースで株価がわ~っと上がるという話をしましたよね? スイングは、ニュースが出たのを見て「この銘柄が来そうだな」と買って、利益がある程度乗ったところで売る、という手法です。デイトレと比べると、うまく行った時に利益が大きくなるのが特徴ですね。

有野:1日で売るんじゃなくて、しばらく持ったままでいるってことですね?

藤川:スイングでは、ニュースが出たことにいち早く気付けるよう、常に「情報に敏感であること」が求められます。ニュースが出てから瞬時に買いを判断できる決断力も重要ですね。情報に気付くのが遅れたり、買いを迷ったりしていると、株価が上がり切ってしまう可能性がありますからね。デイトレほどではないにせよ、ある程度、日中に時間の余裕がある方向きです。

有野:新しいゲームが出ますよ~、ってニュースが出たら、すぐそれに気付いて買わんとあかんってことか。

藤川:そういったニュースのヘッドラインで、売り買いを判断できる人向けですね。営業で外を歩き回っている方なんかは難しいでしょう。もっとも、コロナでリモートワークが普及しましたから、会社員でもスイングができる人は増えたと思います。

有野:なるほど、平日でもデスクワークしながら、隣のモニターでチラチラってニュースを探したりできるようになったんか。便利な世の中になりましたねぇ〜。

藤川:近年はスマホでも売買できるので、スイングをしやすくなったのは確かでしょうね。さらに時間軸が長くなると、今度は「中期投資」というスタンスで、足元の業績の良し悪しが基本的な判断材料になります。上場企業は四半期、つまり3ヵ月に一度、決算の発表が義務付けられています。その決算の内容や、その後の決算の見通しなどをチェックし、株価の上昇が持続しそうな銘柄を探して、数カ月から1年程度で売り買いするやり方ですね。

有野:でも、それって業績のことがちゃんとわかってないと難しいんとちゃいます?

藤川:その通りです。決算の内容が株価にとってプラスになるかどうかを、きちんと判断できる力が必要ですね。前回お話ししたように、「業績は良かったけど、期待していたほどではなかった」と、株価が下がるケースもありますから。「増収増益 = 株価上昇」と、短絡的ではない難しさはあります。

有野:「投資家の期待度の高さ」を読まなあかん、ってことでしたね。

藤川:20~30%といった、割と大きな利益が期待できるのが、中期投資の魅力。デイトレやスイングは、あまりモタモタしていると株価が下げに転じて、損をしてしまうケースが少なくありません。そのため、早め早めの判断が必要な分、利益も少なくなりがちです。それに比べると、割とガッツリと利益を狙えるのが中期投資ですね。その分、決算内容を見極める力が必要になってくるわけです。

有野:どのスタンスも簡単じゃないのはわかるんですけど、スイングの方がめっちゃ勉強せなあかん、って感じがする。でも、得意分野を見つけたら儲けられる気もする。でも、そこまで行くのが大変そうやなぁ。

藤川:そうですね、株式投資は「勉強や研究するのが嫌」って人には向いていないかもしれません。業績の内容に対して「なぜ売り上げや利益が伸びているのか」「この商品はこれからも売れ続けるのか」「ライバル会社の商品とどう違うのか」「業界全体の動向はどうなっているのか」などなど、株価に関係しそうな要因について、「なぜそうなるのか?」と好奇心を持って調べることができる人は、中期投資が向いていると思います。

有野:好奇心かぁ~、ゲームについての好奇心はめっちゃあるんやけどなぁ。会社の研究とか面倒やな、って思ってしまいます。

藤川:株をやっていない人にとっては、「会社研究なんて難しそう……」って思われてしまいがちですが、実際に自分が株を買ってみてから、いろいろなことに興味が湧き始めることが多いんです。株を始めてから興味を持つようになって、調べていくうちに株が大好きになるって人が多いんですよ。最初から高度な研究や分析ができる人なんていませんからね。

有野:なるほどね、やってみているうちに楽しくなって、株にハマってまうわけか。それはゲームと共通するところがありますね。

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