はじめに

退職するまでは黒字が続く

ご夫婦ともに60歳まで現在の収入水準でお仕事を継続され、退職金はなし、という前提でシミュレーションをしてみましょう。

シミュレーションの前提は次のようになります。

◆ご相談者さま、配偶者様ともに、現在の手取り収入(昇給は考慮せず)で60歳までお仕事を継続。退職金はお二人ともゼロと仮定
◆60歳以降、65歳で公的年金(手取りで年間280万円と仮定)の受給が開始されるまでは収入ゼロと仮定
◆生活費も現在の水準が継続(インフレは考慮せず)すると仮定
◆お子様の教育費は、中学まで公立、高校は私立、大学は私立理系とし、平均的な教育費を仮定
◆マイホーム(不動産)の評価額は年率2%で下落していくと仮定
◆60歳までは年間240万円を投資にまわし、投資の運用利回りは4%と仮定。その他の家計収支黒字部分はすべて預貯金にまわすと仮定

この前提で今後30年間の収支を計算すると【図1】のようになります。

このグラフでは、上向きの棒グラフが収入、下向きが支出、そして赤の折れ線グラフが年間収支(=収入―支出)となっています。

現在は手取り収入の半分程度に生活費を抑えられているため、年間400万円程度の黒字になっています。今後、お子様が高校生、大学生の時期には教育費が増加する見込みですが、それでも家計としては年間160万円以上の黒字が見込まれます。

60歳で定年退職されてからは収入をゼロと仮定していますので年間収支は生活費分が赤字となりますが、65歳で公的年金を受け取り始めると、赤字は75万円程度まで低下します。住宅ローンの返済は予定通り進むと63歳時点で完済となりますので、その分も赤字縮小に大きく寄与します。

60歳時点での金融資産は1億4000万円以上に

この家計収支を前提とすると、資産の推移は【図2】のようになります。

棒グラフは資産を示しており、青が預貯金、緑が投資資産です。また、紫色が不動産(マイホーム)を、茶色が住宅ローン残高(負債)を示しており、赤の折れ線グラフが純資産(=資産合計-負債合計)となっています。

家計収支としてはご定年までは黒字が継続する見込みであることから、資産形成が進んでいくと期待されます。60歳時点での金融資産は1億4,000万円を超える見込みとなりますので、ご定年後、公的年金を受け取り始めるまでに収入がなかったとしても、特に困ることはないと思われます。

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