はじめに

株主優待を廃止した企業のその後

株主優待は、長期保有の個人投資家の割合を増やす効果があり、個人投資家が増えるとアクティビストに狙われにくいというメリットもあります。たとえば個人投資家の比率が32.5%と高いイオン(8267)に対しては、アクティビストからのツッコミはほとんどありません。一方、個人投資家の比率が9.33%とかなり少ないセブン&アイHD(3382)は、アクティビストからの圧力がかなりかかっています。となると株主優待は、廃止するより、むしろ拡充させたほうがいいのではないか、とも思います。

過去、株主優待を廃止した企業のその後はどうなっているのでしょう? 2022年6月に廃止したカルビー(2229)は、サイゼリヤと同様に、株主還元を配当金に一本化することを決定。一時的に株価は下落しましたが、その後は、安定しています。

2020年3月に同様の理由で株主優待を廃止したユニ・チャーム(8113)も、発表直後に短期的な株価の下落はありましたが、その後は、企業の成長性や配当方針に対する評価が高まり、長期的には株価の回復が見られています。

カタログギフト方式の優待が非常に人気だったオリックス(8591)は、2024年3月をもって優待制度を廃止。配当などによる利益還元に集約すると発表し、こちらも発表直後は株価が下落しましたが、現在は、上場来高値近くまで株価を伸ばしており、優待ショックからは完全に復活しています。

といったように、株主優待廃止は、短期的には株価の下落要因になりますが、業績が好調で、安定した配当を行うことができれば、株価は回復する可能性が高いようです。今回の、サイゼリヤの優待廃止ショックもあとから見ると、投資のチャンスだったとなるかもしれません。

また優待廃止で個人投資家比率が下がれば、アクティビストのせっつきにより株価が上昇する期待も高まります。

個人投資家比率の高い企業

これらのことから、個人投資家に人気の優待銘柄企業が、優待を廃止した直後の株価下落を狙う逆張り投資戦略が有効と考えられます。現状の流れとしては、どちらかというと優待を拡充させる企業が増えているため、あまり効率がよいとは言えませんが、もし今後、サイゼリヤのように優待を廃止する企業のニュースがあったときは、素早く拾えるように準備しておきたいものです。

個人投資家比率が高い人気優待銘柄は

・イオン(8267)
・スカイラークホールディングス(3197)
・吉野家ホールディングス(9861)
・日本マクドナルドホールディングス(2702)

などが挙げられます。優待廃止を気長に待ってみるのもおもしろいと思います。

※本記事は投資助言や個別の銘柄の売買を推奨するものではありません。投資にあたっての最終決定はご自身の判断でお願いします。

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