はじめに
障がいのある人がいる
ここでいう「障がいのある人」とは、判断能力のない人のことをいいます。判断能力がないので認知症の人がいると同じように、遺言書がなければ家庭裁判所に申し立てをして成年後見人を選任する流れになります。ある程度高齢である認知症の人の場合と違い、障害のある人は年齢が若い場合もあり、20代、30代で成年後見人が選任されると亡くなるまでの数十年間ずっと成年後見人が財産管理をすることになります。そしてその期間報酬が発生し、金銭的な負担が数十年間かかり続けることになります。
将来的に成年後見人を選任することになるとしても、できるだけ時期を遅らせたいと考えるなら、障がいのある人が相続人になる可能性のある人は遺言書の作成を強くお勧めします。
そして、障がいのある子供を持つ親御さんが遺言書を書く最大のメリットは、遺言書で「遺言執行者」を決めておくことができる点です。
遺言執行者とは、遺言に書いてある内容の手続きを行う人です。遺言執行者が相続手続きを行うことができるので、障がいのある子が相続手続きをせずと済むのです。
今回ご紹介した3パターンに当てはまる方には、家族関係が良好で遺産分割協議でもめることはなくても、諸事情で遺産分割協議ができないことで生じる煩雑な手続き等を省略するために遺言書の作成をお勧めしています。
ぜひ財産の移転をスムーズに行うことができるように生前のお元気なうちに専門家に相談しながら準備していきましょう。
行政書士 藤井利江子