はじめに

注目は「メインテーマ+α」

①利上げ関連

まずは、利上げ関連。2024年は、3月に日銀が政策金利の引き上げ(利上げ)を行い、日本経済は17年ぶりに「金利のある世界」に復帰しました。これをきっかけに、金利を上乗せして貸し出すことで稼ぐ、いわゆる「利ザヤビジネス」が復活するとの見方から、メガバンクを中心に銀行株が人気化。年央は、日銀の利上げに対する慎重姿勢と、8月5日の大暴落「令和のブラックマンデー」によって、銀行株も調整を余儀なくされました。しかし、年後半は再び追加利上げへの期待が高まり、メガバンクは軒並み年初来高値を更新しています。

2025年も、この流れが続く可能性が高いでしょう。ゼロ金利政策という収益の重石がなくなることで、銀行株は上昇基調が続きそうです。ただ、地銀に関しては、再編の思惑で株価が大きく上昇する銘柄が出てくる一方、金利上昇を背景とした債券価格の下落による特別損失発生で株価が下落する銘柄が出てくるかもしれません。要は、地銀に関しては「地銀再編+利ザヤビジネスの復活で株価が大きく上昇する銘柄群」と、「債券の評価損による特別損失を理由に売られる銘柄群」に二極化することが予想されます。メインバンクについては、株価の調整局面は押し目買いの好機でしょう。

②地方創生+インバウンド

石破首相は2014年、“初代”の地方創生担当大臣に就任したことが影響しているのか、地方創生にこだわりを持っているようです。すでに「地方交付金の倍増」を表明しています。ただ、このテーマ自体に目新しさはまったくありません。これまでの経緯から考えても、「地方創生」という単一テーマだけで株価が大きく押し上げられる可能性は低いでしょう。

もっとも、地方創生に「インバウンド」というテーマが合わさることで、一大相場テーマに昇格するかもしれません。2024年の訪日外国人客は、11月時点で、すでに過去最高だった2019年の数字を突破しました。足元で円安が続いていることもあり、2025年も引き続き、高水準の訪日客が期待できます。

インバウンド需要を呼び込むことに予算を注ぎ込む自治体・地域には、大きなお金が落ちるでしょう。それによって、交通や観光、小売、外食といった、その地域と関連が深い企業の業績も押し上げられるはずです。インバウンド関連株については、すでに人気化している銘柄が少なくありませんが、2025年は、まだ買われていない銘柄にも買いの手が伸びることが予想されます。有名観光地の一部では「オーバーツーリズム」が問題となっていますが、個別企業に関しては、インバウンド需要拡大のプラス面のみフォーカスされることになるでしょう。

③軍事・防衛

軍事・防衛という相場テーマでは、2024年、三菱重工、川崎重工、IHIの3社を筆頭に大きく買われました。つまり、かなり“手アカ”が付いたテーマといえます。注目は、2023年10月に施行された「防衛生産基盤強化法」。この法律によって、軍事・防衛関連機器の想定営業利益率が、従来の目安である8%から15%へと倍増近く引き上げられました。もともと、軍事・防衛関連機器は、その特性(機密性の高さ)によって関連企業が限られていたため、利益率が低く、あまり“オイシイ”事業ではありませんでした。しかし、この法律が施行されたことによって、関連事業の利益率は飛躍的に高まるでしょう。

前述の3社を筆頭とした主力銘柄については、業容が多業種に渡っているケースが多く、軍事・防衛向けだけで業績が劇的に拡大するとは思えません。もちろん、同事業の拡大が好感され、引き続き買われる公算はありますが、2025年は、海自向けに船舶用システムを手掛ける企業など、これまであまり買われてこなかった銘柄の人気化局面が予想されます。もちろん、「防衛費の増額」という、強烈な国策の追い風が吹き続けるテーマでもあります。

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