Brief Weekly Market Report
経済アナリスト・三井智映子氏が、毎週のマーケット動向を、わかりやすく解説していきます。
東証が問題視する「PBR1倍割れ」の企業、改善策が株価に与える影響とは
投資家にとってチャンスになるのか?
東京証券取引所が昨年、2022年4月に市場区分を東証1部、2部、JASDAQ、マザーズから、プライム、スタンダード、グロースの3つの区分に再編したことはご存知の方も多いと思いますが、いまプライム市場とスタンダード市場に上場する約3,300社を対象として、東証が株価を引き上げるために企業価値の向上や資本効率の改善を要請しています。具体的には、約3,300社のなかで特にPBR(株価純資産倍率)が1倍以下の企業を問題視しており、その是正に取り組んでいるようです。このニュースを知らない方は、もしかしたら投資チャンスを逃しているかもしれません。今回は、投資初心者の方に向けてPBRとはなんなのか、PBRが1倍以下の企業は今チャンスなのか、PBRが1倍以下の企業のなかでどのような銘柄を選べばよいのか、解説していきます。
なぜバフェット氏は日本5大商社へ投資するのか−−投資の神様が実践する「バリュー株投資」のメリットとデメリット
実践する上で把握すべきこととは?
長期投資の有力な選択肢の1つとして「バリュー株投資」という手法があります。バリュー株とは、市場で過小評価されているとされる企業の株式のことを指します。バリュー株投資は、割安な企業を見つけ、その企業が適正評価に戻ることを期待して投資を行う手法です。バリュー株投資というと、米著名投資家であるウォーレン・バフェット氏が実践されていることでも有名です。そのバフェット氏が、日本株への追加投資を検討していると報じられたことが話題になりました。4月11日(火)には日本経済新聞社が、バフェット氏の日本5大商社株の保有比率がそろって7.4%に高まったことも明かしたと報じました。“投資の神様”と呼ばれるバフェット氏が日本株を買い増ししたことで、日本株市場全体の追い風となるとともに、海外投資家が日本株に注目してくることも考えられます。そう考えると、いま日本株はとってもホットかもしれません。皆様の中でも、高利回りな銘柄を保有することで、資産を構築していきたいと言うバフェット氏のスタイルでの投資を目指している方がいらっしゃると思います。今回は、なぜバフェット氏が5大商社株を購入したと考えられるのか、バリュー投資
プロ投資家にはない個人投資家のメリット、プロは意外と柔軟な投資判断ができない?
金融アナリストが考える個人投資家の強み
個人投資家には、プロの投資家にはないメリットや強みが存在します。今回はプロに負けない、個人投資家ならではのメリット、強みについてお伝えいたします。
SVBショックは本当に収束したのか−−投資家がリスクオフで取るべき戦略とは?
覚えておきたい4つの相場サイクルの特徴
リスクオフとは、金融市場での投資家の態度や状況を表す言葉で、市場参加者が安全な資産に投資をシフトすることを指します。リスクオフの状況で投資家は、株式や高利回りの債券、新興市場通貨など高いリスクを伴う資産を避け、米国債や日本国債、金などより安全な資産に資金を移動させます。リスクオフの動きは、株式市場や為替市場に大きな影響を与えることがあります。先月3月10日(金)のシリコンバレー銀行(SVB)の経営破綻に始まった、金融システムへの懸念に伴う下落は「SVBショック」とも呼ばれていますが、株式が売られた一方で、「有事の安全資産」とも呼ばれる金や、銀行をはじめとした現行の金融システムへの不安からビットコインなどが買われてリスクオフの流れとなりました。株式投資の観点から簡単にまとめると、リスクオフは株安、逆にリスクオンは株高の傾向が強いということです。投資のリスクをチャンスに変えるためにすべきこととしては、リスクオフがなぜ起きたかを把握することと、株式投資であるならば、その際にチャンスがあると考えられるセクターや銘柄をおさえておくことが必要だと考えます。
会社員は株式投資をしたほうがいいのか?判断する5つの要素と4つの魅力
2024年からは新NISAもスタート
会社員として働かれている方に、株式投資をした方がいいのか、と聞かれることがこの数年本当に増えました。会社員、と一括りにいっても、それぞれ働き方やライフスタイル、ライフプランなども異なるので、一概に断言はできませんが、同じような悩みを抱えている方のために、今回は会社員が株式投資をすべきなのかについて、皆さんと一緒に考えてみたいと思います。
シリコンバレー銀行の経営破綻はどんな影響があるのか?下落局面で考えたい投資戦略
リーマン・ショックとの違いは
2023年3月10日(金)にアメリカの地方銀行「シリコンバレー銀行(SVB)」が経営破綻したことを受け、この3月13日週は株安が進行しました。株価が下落することに恐怖を覚える方も多いと思いますが、こうした下落局面ではどのような投資戦略をとるべきなのか−−SVBショックから相場の下落局面での立ち振る舞い方を考えていきたいと思います。
ミスドに丸亀製麺も!3月に権利確定する身近な優待銘柄5選
3月は優待銘柄が一年で最も多い月
先日、回転寿司チェーンの「スシロー」に行ってきました。迷惑行為の動画がSNS上に掲載されるなどが度々マスコミで取り上げられているなかで、スシローを運営しているFOOD & LIFE COMPANIES(3563)の株価は昨年秋頃から上昇トレンドとなっています。お店の雰囲気などが気になっていましたが、相変わらずの人気で待ち時間もあり、メニューも豊富で企業努力を感じました。投資先候補のお店や商品などに、自分で足を運んだり体感したりすることは個人投資家としては大切なことだと考えます。どのくらいお客さんが入っているか、単価はどうか、流行しているかなどが業績に反映されるまでタイムラグがあるため、実際に訪れることでいち早く知ることができるからです。また同社では株主優待を実施しており、優待食事割引券が株主優待としてもらえて、国内のスシロー全店舗、大衆寿司居酒屋「鮨 酒 肴 杉玉」全店舗、株式会社京樽が運営する全ブランド(一部店舗を除く)で、会計金額1,100円(税込)毎に550円の優待割引券を利用することが可能です。個人的には保有し続けるには利回りがいまひとつですが、売買益を狙うといった戦略もあるか
投資信託や銘柄にも直結する【インフレ】を見極めるための5つの指標
経済指標をおさえるメリットとは
今回は、投資信託や銘柄にも直結する、注目すべきインフレ関連の経済指標について紹介します。インフレ関連の経済指標をおさえることで、3つのメリットが考えられます。
テンバガー(10倍株)になりやすい条件とは?金融アナリストが注意点とあわせて解説
2021年・2022年のテンバガーも
「テンバガー」という言葉をご存知でしょうか?テンバガーとは、英語で10のtenと、野球の俗語で「塁打」を意味するbaggerをあわせた言葉で、10倍以上の株価成長を見せる銘柄のことを指します。皆様のなかには、テンバガーの銘柄を持って、利確した経験がある方もいらっしゃるかもしれません。テンバガー銘柄を予想できれば10万円が100万円に、100万円は1,000万円になります。一攫千金が狙えるということで夢が膨らみますが、テンバガーの予想はプロでも難しいと言われます。今回は2021年、2022年にテンバガーとなった日本の銘柄と、テンバガーになりやすい条件について、私なりの考えをまとめてみましたのでお伝えします。相場の値動きを知るだけでも知見が溜まっていくと考え、毎回恒例の一週間の相場まとめもありますので、どうぞ最後までお付き合いください。
医療、介護、事業承継…「2025年問題」の恩恵を受ける企業は?
アナリストが投資家目線で紐解く
「2025年問題」というのをご存知ですか?団塊の世代が2025年に、75歳以上の後期高齢者となることによって、日本の人口の年齢別比率が変化し、全人口の4人に1人が高齢者という超高齢化社会を迎えるということを指します。団塊の世代は昭和22(1947)年から昭和24(1949)年に生まれた方々で、総務省が発表した「統計からみた我が国の高齢者」によると、団塊の世代を含む75歳以上人口は1,871万人(総人口に占める割合は14.9%)で、80歳以上人口は1160万人(同9.2%)とのことです。超高齢化社会を迎えることによって、社会や私たちの生活に問題が出てくることも予想されます。
2月に権利確定する「配当利回りランキング」トップ5銘柄
配当+優待で家計を助ける
投資で得られる利益は大きく分けるとインカムゲイン(Income Gain)とキャピタルゲイン(Capital Gain)に分けられます。インカムゲインは株の配当や不動産の家賃収入などの資産を保有していることで得られる利益のことを指し、キャピタルゲインは資産の価値が買った時より上がり、売却によって得られる利益のことを指します。投資をする際には、どちらの利益を狙って投資をするのかを考えて、投資先を選択するとよいのではないでしょうか。この記事を読んでくださっている方は、配当収入を重視した投資に興味のある方だと思いますが、配当収入を狙う上で「配当利回り」は調べる必要があります。
世界10大リスクと日本が受ける影響とは?リスク1位の関連銘柄も
Z世代、水問題などもランク入り
米国の大手調査会社であるユーラシア・グループが毎年、年初に1年のリスクについてまとめていることをご存知でしょうか? 投資業界では有名だと思うのですが、一般的にはあまりニュースで見ることがないように思います。投資では“対処”がとても大切なので対処力を高めるためにリスクを知り、リスクが現実のものになってしまった時に上がりやすい銘柄を押さえておくことも戦略の一つですし、投資をしていなくても、私たちを取り巻く環境でどのようなリスクがあるのかを知っていることは大切だと思います。今回は米国の調査会社ユーラシア・グループが1月3日(火)に発表した2023年の世界の10大リスクとリスク1位の関連銘柄、加えてユーラシア・グループが挙げている日本が受ける影響ついても紹介します。
インフレ鈍化でなぜ債券投資が注目されるのか−−魅力あるタイミングはいつまで?
金利と債券価格はどう関係するのか
2023年も1ヵ月近くが経過しましたが、今年も値動きが激しく難しい相場だと感じている方もいらっしゃるのではないでしょうか?改めて2022年からの流れを振り返ると、インフレの度合いが高まり、それを抑制するための各国中央銀行の積極的な利上げにより、多くの資産クラスにとって2022年は厳しい環境で、運用が難しい年だったと言えます。しかし、2023年はその流れが変わってきたと市場で考えられており、それに伴い債券に対して投資家の需要が高まるのではないか、と考えられています。なぜいま債券に注目すべきなのか、その理由といつまで債券に魅力がありそうか、債券に投資できるETFについてもお伝えしていきます。
2023年1月の配当利回りランキング−−2位は積水ハウス、1位は?
配当金は株式投資の魅力のひとつ
株式投資の魅力として、配当金や株主優待を受け取れるという点を挙げる方も多いのではないでしょうか? 配当利回りは、一株あたりの配当金 ÷ 株価で計算することが出来ます。配当利回りが高い株式である高配当株を狙いたいという方もいるでしょう。今回は、2023年1月の配当利回りの高い企業についてお伝えします。
株価暴落時に覚えておきたい戦略、投資資金にあった方法を金融アナリストが解説
ニュースでよく見る指数を知る
「日経平均株価」に代表されるように、相場全体の動きをあらわす「指数」は、投資家にとって重要な判断材料です。それぞれの指数がどのようなものかを知ることは、戦略を考える上で役立つと考えます。今回は、ニュースでよく見る「ダウ平均」と、日本のダウ平均ともいえる「TOPIXコア30」について解説するとともに、TOPIXコア30のETFや少額でもできる投資戦略も具体的にご紹介します。
2023年、日本株の見通しは?金融アナリストが堅調と考える理由を明かす
投資戦略「ダウの犬」日本版も解説
あけましておめでとうございます。2023年卯年の相場格言は「跳ねる」となっています。特に2023年は「癸卯(みずのとう、きぼう)」であり、「癸」は物事をはかるという意味があって、それをまちがうと混乱や動乱につながったり、続いた流れにケリがつく、といった意味もあるよう。2022年はボラティリティが高く、米金融政策に振り回されて混乱した部分もありましたね。その混乱が継続したり、利上げにケリがつく可能性もありますが、卯が跳ねると思い込まず、慎重に行きたいと個人的には考えています。今回は年始ですので、2023年の日本株の見通しと投資戦略についてお伝えしていきます。
年金運用は評価損、景気後退入り予兆も…2022年、日経平均は1年でいくら下落したか?
2022年の相場を振り返る
大晦日ですね、皆様にとって2022年はどんな一年でしたでしょうか?市場もさまざまな動きがありました。今回は、激動の2022年の相場を振り返っていきましょう。
日銀、金融緩和の見直しは何が問題だったのか−−今後、考えられるシナリオとは?
金融アナリストが解説
12月19日週の東京株式市場で日経平均株価は、12月21日(水)まで5営業日連続で下落し、1,700円を超える値下がりとなりました。12月22日(木)に反発したものの、23日(金)は前日比272円62銭安の2万6,235円25銭と再び下落。前週12月16日(金)の日経平均株価は2万7,527円12銭でしたので、週間では1,291円87銭の下落となりました。前週12月14日(水)のFOMCでは政策金利見通しで2023年末の予想が引き上げられ、15日(木)のECB理事会ではで4会合連続となる政策金利の0.5%引き上げを決定。ラガルド総裁の利上げ継続の意思を示すタカ派的なスタンスもあり、世界的な景気後退懸念が意識されていることが相場の重しとなっています。そんなか、日本銀行は12月19日(月)から20日(火)に開催した金融政策決定会合で、日銀が長期金利の許容変動幅を従来のプラスマイナス0.25%から0.5%に拡大すると発表。事実上の利上げと市場では判断され、主要国の長期金利の上昇につながったようです。今回は、市場関係者にとってもサプライズとなった、日銀金融政策決定会合についてお伝えします。