はじめに

円安株高を演出したアベノミクス相場が失速するなか、マイナス金利の導入で個人投資家は資金の置き場を見失っています。方向感の見えない相場に対し、私たちはどう向き合っていけばよいのでしょうか。

JPモルガン・アセット・マネジメントのグローバル・マーケット・ストラテジスト 重見吉徳氏に、今後の金融市場の行方と、個人投資家が資産を守り増やすための心構えについて話を聞きました。

海外投資をする際に意識すべきこと

――為替相場も不安定です。海外の資産に投資する際は、何に気をつけたらよいでしょうか。

できるだけ、為替ヘッジのかかった商品を選ぶのがおすすめです。為替ヘッジとは、先物やオプション取引などを利用して、為替変動によるリスクをヘッジ(回避)することです。為替ヘッジにはコストがかかるため、収益はその分押し下げされてしまいますが、今はその価値はあると考えます。

さきほども株式投資の例で、「コツコツと配当を積み上げる」ことがよいと述べました。一般に、為替レートの変動性は、海外資産への投資によって期待される収益率を大きく上回ります。例えば、2016年9月時点で、アメリカの投資適格社債の利回りは年率平均3%前後ですが、ドル円相場の変動性は年率10%程度です。もちろん、これは10%の円安になって、3%の債券利回りに収益が上乗せされることも意味しますが、反対にせっかく稼いだ3%の利回りが10%の円高で吹き飛んでしまうことも意味します。これでは「コツコツと配当や利息を積み上げている」とは言えません。

過去の例をみる限り、そもそも上下に変動性が高い局面や、なんらかの悪材料が出てリスク回避的な動きが生じる局面では、円高傾向になります。このような局面で無理に為替リスクをとると、資産価格の下落と円高による評価額の下落というダブルパンチに見舞われる可能性が高くなってしまいます。

2016年前半のドル円相場はこの典型で、為替ヘッジをしない場合、多くの海外資産でインカムを含むトータルリターンがマイナスに陥っています。

また変動性の高さのみならず、今後の金融政策の方向性を考えると、アメリカ経済は既に「8イニング目」で、アメリカはそれほど利上げはできない可能性があります。一方で、日本については金融緩和の限界が指摘されています。ドル安・円高のリスクが残されています。

そんなときには無理をせず、コストを払って保険をかけておくのが賢い選択ではないでしょうか。たとえば、アメリカのハイ・イールド債(高利回り債券)の2016年9月時点の利回りは6.5%で、ここからヘッジコストを差し引くと、利回りは4.9%程度です。為替リスクを取って6.5%を狙うより、4.9%を堅実に取りに行くのが無難な戦略といえるでしょう。

――株や債券など、複数の資産に投資したほうがよいでしょうか?

リスクを抑える方法は、分散しかありません。株と債券をベースに、REITや商品などをプラスしていくのがいいでしょう。もちろん、分散しても金融ショックや下落局面でのマイナスは免れませんが、株だけに投資するよりも下落幅を小さくし、早く回復できます。分散するとリターンが小さくなると嫌がる人もいます。しかし、上がったり下がったりする局面では、実際のリターンはそれほど変わりません。

リーマン・ショックの前年という不運な年に投資を始めたケースで、先進国の株だけに投資した場合と、先進国の株と債券に半々で投資した場合を比べると、下落時の下落幅には大きな差があるのに対し、相場が回復した時のリターンはさほど変わりがないのです(下図参照)。

リターンが大きく変わらないのであれば、途中経過の下落幅は小さいほうがいいに決まっています。ずっと上昇相場が続くのであれば、株に全力投資するほうが有利なのですが、現実には上がり続ける相場はありません。分散投資は、下落相場で威力を発揮するのです。

分散投資に適した商品

――具体的にはどういう商品で分散投資をしていくのがよいでしょうか。

個別銘柄を吟味する手間暇をかけられるならそれもよいのですが、手軽なのは投資信託を利用することです。為替ヘッジ付きの高配当株式ファンドや外債ファンドなど、今投資するにふさわしいと考えられる資産対象の投信を何本か選んでいくといいでしょう。

さらに手軽なのは、1本の投資信託で十分な分散投資ができるバランス型投信です。また、株と債券の2つの性質を持つ転換社債(CB)に投資するファンドも、1本で株と債券を両方保有するのと同様の効果が期待できます。

――投資信託、中でも分散投資ができるバランス型がよいのですね。また転換社債(CB)ファンドというのは思いつきませんでした。株と債券、両方の特徴を持つファンドというのは魅力的ですね。どうもありがとうございました。

重見吉徳(しげみ・よしのり)JPモルガン・アセット・マネジメント株式会社 グローバル・マーケット・ストラテジスト。大阪大学大学院博士前期課程修了後、農林中央金庫、野村アセットマネジメント、アール・ビー・エス証券を経て、2013年3月より現職。豊富な経験と知見を生かした市場環境レポートは、業界で高い信頼を得ている。

株と債券の「いいとこどり」?!転換社債(CB)ファンドとは

転換社債(CB)とは、一定の条件で株式に転換できる権利(転換権)のついた社債で、株と債券の両方の性格を併せ持っているのが特長です。下落局面では下がりにくい債券としての性格を発揮し、上昇局面では株価と連動して値上がりする傾向があるので、ボラティリティが高くなっている相場でも比較的安定した値動きが期待できます。

一般的に株はハイリスク・ハイリターンで、債券はローリスク・ローリターンと言われますが、転換社債はミドルリスク・ミドルリターンといえます。

さらに転換社債の投資信託(CBファンド)であれば、日本だけではなくアメリカ、ヨーロッパ、新興国など、1本のファンドで世界中に国際分散投資ができます。

JPモルガン・アセット・マネジメント株式会社では、今年の9月で15周年を迎えた「JPMワールド・CB・オープン」など、長く安定実績のあるCBファンドを運用。高ボラティリティのマーケットに適した、上げ幅こそ株式には届かずとも、下げ幅は相対的に押さえられるアセットクラスで、高ボラティリティである為替リスクを最小限にすべく為替ヘッジをかけているファンドが相対的に安定した成果をあげていることは、その運用実績が示しています。

現在のような不安定なマーケットの中、安定した利益を目指すためには、このようなCBファンドを長期で持つことも検討していくといいかもしれませんね。

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※本記事はJPモルガン・アセット・マネジメント株式会社のスポンサードコンテンツです。