はじめに

超高齢社会の到来。人口は減少。給料は上がらない。年金もどうなるか分からない--日本の未来について不安を抱いている方は、決して少なくないと思います。確かに、今のまま何もせず、流れに身を任せていれば、日本はどんどん衰退していくでしょう。

でも、こうした課題を上手に乗り越えることができたら、日本は、これから高齢社会に入っていく先進国をはじめ、環境破壊や交通渋滞に悩む新興国のロールモデルにもなれるはずです。

乗り越えるために私たち個人は何ができるのか。その答えを探るべく、運用会社を傘下に持つスパークス・グループに話を聞きました。

東日本大震災を機に加速した不動産投資と再生可能エネルギー投資

グループの投資活動は多岐にわたっています。そのメインになるものを紹介しておきましょう。

1. 不動産投資

グループは、東日本大震災後の2012年から不動産投資ファンドの設定を積極的に展開しています。復興のため大勢の人が東北を目指したものの、現地で圧倒的に不足していたのが宿泊施設。そこで不動産投資ファンドを設立し、宿泊施設を建てるのに必要な資金を集め、約1300室を擁するホテルの建設資金を拠出しました。

2014年には、さらなる不動産投資の展開を見据え、前身の企業を買収。スパークス・アセット・トラスト&マネジメントとし、不動産投資専門のファンドを持つに至っています。

現在は、下記を三本柱に、不動産投資ファンドを通じて建設資金を供給しています。

  • eコマースの拡大で需要が高まる倉庫
  • インバウンドの活性化で不足感が高まっている宿泊施設
  • 超高齢社会の到来で必要となる医療施設

特に近年、医療施設の老朽化が社会問題になりつつあります。

従来、開業医が自分の病院を建てる場合、医師本人が個人保証の形で病院の建設費用を調達するリスクを取っていましたが、古い病院になると医師も高齢で、高額の借金をしてまで老朽化した施設を建て直す余力がないケースが多く、ますます施設が老朽化するという悪循環に陥っています。

そこでスパークス・アセット・トラスト&マネジメントは、優秀な医師が資金調達リスクを負うことなく開業ができるよう、不動産投資ファンドで調達した資金で医院が入居する医療用ビルを開発しました。

2. 再生可能エネルギー

東日本大震災を機に注目を集めたのが、原子力発電所の事故によって電力不足が深刻化し、太陽光発電などの再生可能エネルギーに固定価格買取制度(FIT)が導入されたことです。

スパークス・アセット・マネジメントでは、東日本大震災が起こる前から、スマートグリッドをテーマにした株式ファンドを始め、その後、再生可能エネルギー向けの投資ビジネスを立ち上げ、昨今では発電関連施設に投資する1000億円規模のファンドを組成・運用しています。

2016年11月4日時点で、日本全国で運転中のメガソーラー発電所が12カ所。これから稼働するメガソーラー発電所が8カ所。太陽光発電以外の再生可能エネルギーでこれから稼働する予定のところは、風力発電所とバイオマス発電所、地熱発電所がそれぞれ1カ所ずつになります。

現在、日本にある商業用原子力発電所は、建設中も含めると46基ありますが、このうち稼働しているのは、わずか2基(出典「原子力・エネルギー図面集」2016)。原子力政策に対する風当たりが強まるなか、今後はクリーンなエネルギーである再生可能エネルギーに対する関心と実需が一段と高まっていくと考えられます。