はじめに
史上空前の低金利を追い風に、個人による不動産投資が注目を集めています。購入した物件を賃貸し、家賃収入を得る不動産投資は、将来の年金を補完する収入源としても期待される一方、高値掴みや家賃の値下がり、空室といった不動産ならではのリスクも。
リノベーション賃貸物件の運営やマンション投資のサポートで個人投資家の信頼を集めるリズム株式会社の専務取締役・織田基久氏、顧問・巻口成憲氏に、不動産投資の現状から不動産投資のリスク、同社の商品戦略などについて話を訊いてみました。
世界的には割安な東京の地価
――マイナス金利の決定以来、不動産投資に興味を持つ人が増えているようですね。
織田: 以前から低金利が続いていたこともあり、これまで投資をしたことのない人たちの関心も高まっていますね。弊社の不動産投資セミナーもいつにない人気で、熱心に耳を傾けてくださる人たちが多くみられます。
巻口: 足下の地価もかなり上昇してきています。建築業界の人手不足や資材価格の上昇も重なって、新築物件の値上がりが著しいですね。それでも、こうしたコストが上積みされない中古物件は比較的買いやすく、狙い目といえます。
――あまり値上がりしていると買いにくいという投資家が多いのでは? バブルを心配する声もありますね。
巻口: 東京の地価は高い、というイメージを持つ人は多いのですが、世界の主要都市は著しい地価上昇が続いており、東京はむしろ最も割安な水準にあります。しかも通勤交通圏で見れば世界一の人口を誇っており、国連の推計では少なくとも2025年までトップを独走するとみられています。
日本全体で見れば少子高齢化で人口は減少しますが、一極集中が進むために東京は今後も世界最大の都市であり続けるということなんです。それなのに地価は割安なのですから、かなりお得ですよね。
織田: バブル景気を経験した世代は慎重になりがちですが、当時と現在では状況はまったく違います。バブル期は値上がり期待だけで高騰する異常な相場でしたが、今は実需の裏付けがあるゆるやかな上昇です。買う側も利回りを厳しく判断するので異常な高値では買い手はつきませんし、あくまで平時の上昇と見ています。
巻口: 数年前までは3%だったローン金利が、今はわずか1%程度に下がっているので、地価の上昇分はかなり吸収できています。不動産投資はローンを組むことで資金を上回る資産を運用できるのが魅力のひとつですが、そのコストである金利が低いのは大きな強みです。
織田: 20〜30代の若い人が、不動産投資に踏み切る例も増えていると感じます。以前は、若くて収入が少ない人はローンを組みたくても金融機関に断られたものでしたが、最近はローン審査のハードルはかなり下がっています。この世代は将来不安も強いので、不労所得を生む実物資産への投資意欲も強いのでしょう。
若い世代の方は特に、年金だけでは老後の生活がままならないと自覚しているので、プラスαの収入源を形成しようと考えている方も多い見受けられます。
巻口: 一方で、実は投資経験が豊富な人の中には「乱高下する株式市場に疲れた」と、不動産に関心を移してくる人もかなりいるんです。