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資産形成のために知っておきたい 自分のためと社会のための投資とは

イベントレポート

2018年8月25日、人生100年時代に向けた長期資産形成を学ぶをテーマに開催されたイベント「資産形成1DAYスクール2018」。本イベントでは「貯蓄から資産形成へ」の第一歩として、お金の最新情報や制度、効率的なお金の増やし方を著名ファイナンシャルプランナーが中立的な視点でわかりやすく解説。

さらには、運用益が非課税で人気が高い「iDeCo」「NISA」「つみたてNISA」の活用法も紹介し、これから資産形成を始めたいと考えている方から、既に始めているけど復習したい方まで、長期資産形成について学ぶためのセミナーが多数開催されました。

その中から本記事では、鎌倉投信株式会社創業者の新井和宏氏によるセミナー「資産形成のために知っておきたい 自分のためと社会のための投資とは」の内容を一部抜粋して紹介します。


その株、半値になっても買えますか?

新井氏: 皆さん、こんにちは。先ほどご紹介にあずかりました、私、新井ですが、実は今月15日に退任をして、新しい会社を来月創業する予定になっております。今日は「資産形成のために知っておきたい、自分のためと社会のための投資」とは、どういったものかをお話したいと思います。

まず最初に、私がいつも講演させていただくときに申し上げていることなのですが、皆さんは投資というものを理解していただく必要があるであろうと。つまり、投資をしていくうえでの勝つ方法、負けない方法を知っていただきたいと思っています。投資というのは単純で、ほぼここに帰着いたします。「半値になっても買えますか?」ということです。皆さんは、下がったときにどういう態度ができるかが問われるのです。

いつも講演で申し上げさせていただくのですが、私の髪の毛を切ってくれる床屋さんの話です。

私が鎌倉投信を創業したのは2008年になるのですが、そのときに髪の毛を切ってくれていた近所の床屋さんの話です。床屋さんは一戸建ての中にあり、席が1つしかありません。マンツーマンで髪を切ってくれるのでゆったり切っていただけます。当然ながら、鎌倉投信を創業していたので、そのときに勧誘行為をしました。新しいファンドを作ったのでぜひ選んでほしいと。「私は運用会社の運用責任者で、ぜひ投資信託を買ってほしい」とお伝えしたところ、一番最初にこう言われました。「株と金、投資と金、私はダメなんですよ。どうも、そういった博打みたいなものはダメなんですよ」と言っていました。

そんな床屋の主人が、ひょう変します。

アベノミクスが発表され、株価が急騰した後です。床屋の主人が「新井さん、僕の友達が株で儲かったと言っているんです。私もそろそろ始めたほうがいいですかね?」と言いました。そのときに私は「あなたが一番投資で負けるタイプです」と言いました。分かりますか? 投資の世界で何が難しいかというと、人間は心理的に弱いということなのです。つまり、誰かが儲かったということを聞くと、それに乗っかりたいと思う人がいるのです。その心理がまずいということです。

逆に震災が発生したとき、みんながダメだと思っていたときに投資したうちのお客様が(お客様の中で)一番儲かりました。「日本を何とかしたい」「応援したい」「いい会社を応援したい」そういう思いがある方が一番勝っているのです。これは、ウォーレン・バフェットも同じことを言っています。いい会社を安いときに買って、長く投資をして上がった時に売ればいいということです。投資で儲かる方法は単純です。安いときに買って、高いときに売るということです。だから、私はこういう言うのです。「半値になっても買えますか?」。これが試されるのです。ご自身の中でそういう判断ができるかどうかにかかってくるのです。

私が以前にいたバークレイズ・グローバル・インベスターズという会社は、いわゆる金融工学、数式で判断をします。その理由は、人間の心理的な弱さを排除するのが目的になっているからです。人間というのは簡単なんですね。ファンドマネジャーもそうです。勝っているときは誰も気にしないのですが、負けたときにはっきり出ます。

負けたときの人には、2つのパターンがあります。

1つは、怖いからやめる。これを世の中で「損切り」と言います。損切りと言う以上、損してやめるわけですから、儲かるわけがありません。もう1つは、博打を打ちます。負けたぶんを取り戻すためにもっとリスクの高い商品を買いに行きます。つまり人は、心理的にリスクを回避しようとするのです。もしくは、リスクを倍取ろうとする行為に出ます。安定したリスクを取れないことが大きな問題なのです。プロはそれは避けるために、安定的にリスクを取ろうとします。

それを、女性に分かりやすい表現に変えてみました。バーゲンセールです。なぜ、人は半値になっても買えるのかといったとき、買いたかった洋服と、買いたかった株式で何が違うのかをよく考えてほしいです。ここがポイントです。買いたかった洋服は買えるのに、なぜ買えなかった株は、半値になっても買えないのかということです。ここをきっちり自分の中で消化しないと、投資はなかなか難しい状態になってしまいます。

この答えを言ってしまうと、買いたかった洋服というのは、自分が信じている何かが存在しているからです。例えばクオリティであったり、デザインであったり、それが定価で買うのではなく、半額で買えるのであればそっちのほうがいいに決まっていると思います。それに対して、株価は分からないことがたくさんあるから、半値になると不安になるのです。もしかしたら、何か自分が知らない情報があるのかもしれないから、信じ切れないということです。信じ切れないということは、投資上、すごくデメリットになるということを知っておいていただきたいです。

私がいつも申し上げていることなのですが、皆さんが信じられる商品が見つかれば、それが投資の中で一番うまくいく方法です。人は信じ切れないので、信じ切れる何かを持つということがすごく大事なのです。それは個別の株式でも、投資信託でもいいと思います。他の金融商品でもいいと思います。皆さんが心底信じられるものが見つかれば、その人はラッキーな人です。なぜかというと、半値になっても買う自身があるからです。「そこまで信じ切れますか?」と自分の中で問うていただくことが、すごく大切だということだけは覚えておいていただきたいと思います。

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