下落率が50%ぐらいでも不思議ではない

ここで恐らく気になるのは、では今回下がるとしたらどれぐらい下がるのかということと、いつ来るのかです。真面目に答えれば、分かりません。しかし私なりに解説すると、まずどれぐらい下がるかということですが、3割、5割は当たり前だと考えております。こんな暗い話、よくできるなと思うかもしれませんけれども、いつもしているので平気です。

このページが何を示しているかというと、まず一番上の段の棒グラフは、1948年からのいわゆる強気相場、弱気相場のS&P500指数の上昇率と下落率を示しています。緑が上がったときの強気相場です。赤が下がったときの弱気相場です。真ん中の段は、それぞれ上がった期間が何年あったのか、下がった期間が何年あったのかを示しています。

真ん中の段を見てください。ここ最近の強気相場の期間は、だんだん長くなっています。これは統計的にいえば、ここで何か構造的な変化が生じたんだろうと考えます。

何が起こったかというと、金融政策レベルで考えると、物価のコントロールをもっと真面目にするようになったと。例えば、景気悪くなってきたなと思ったら利上げをやめたり、急いで利下げをしたりすることによって、景気を長く持たせるようになってきたということがあるかもしれません。

あるいは、もう少しミクロレベルで言えば、IT化が進んで、在庫管理がやりやすくなって不要な在庫を持たなくて済むようになったということも影響しているかもしれません。いずれにしても、最近の特徴というのは上がる期間が長くなっていますし、同じように景気拡大の期間もだんだん長くなっています。

これが何に影響しているかというと、上昇率に影響しているということです。もちろん、M&Aが進んでいるとか、自社株買いが進んでいるというような、ほかの要素も株価を押し上げていると思われますけれども、今回の上昇相場は9.6年、1948年から見て過去最長に及んでいますし、331%も上がっているということになっています。マーケットの普通の行ったり来たりの状況を考えれば、やっぱり30%~50%ぐらい下がってもおかしくないと思っています。

マーケットというのは、大体行き過ぎます。ですから、揺り戻しというのは必ず起きるはずです。今、331%上がっています。これが半分になると、今後50%の赤の棒グラフが描けますけれども、そうすると今回の上昇率というのは、半分に割ると大体150%ぐらいになります。それが大体1株利益の上昇率と同じです。

ですから、この間に企業のファンダメンタルズ、利益というのは150%の倍ぐらいになってきたという感じです。今、その倍ぐらいの300%株価が上がっていますから、ファンダメンタルズに戻るとすれば、331%が半分になる、すなわち下落率が50%ぐらいになるような下落があっても不思議ではないと考えています。

マーケットの10のルール

次に「マーケットの10のルール」というのをお示ししています。この10のルールというのはボブ・ファレルという方が昔に考えたものでして、いつも頭にたたき込んでおかないといけないと私自身が思っているのでここでもご紹介しています。

まず1番目、マーケットは時を経て平均に回帰するということです。つまり、下がった失業率はやがて上がっていきますし、上がった失業率はやがて下がっていくということです。行ったり来たりします。

2番目、一方向への行き過ぎや過剰は、逆方法への行き過ぎや過剰を生むということです。つまりマーケットというのは、一方向に上がるときは過剰なぐらい上がっていきますよということですし、それが揺り戻されるときは、反対側に過剰に下がっていくということです。

3番目、これはIT相場で言えることですけれども、マーケットに今回は違うということはないんです。行き過ぎや過剰というのは永続しませんと書いてあります。さらに、マーケットに新しいものはないと。なぜならば、マーケットの歴史は人類の歴史と同じぐらい古いためであると書いてあります。

どういうことかというと、例えばAIやIoT、EV、電気自動車、これは科学的に考えて人類にはなかったものですね。確かに人類にとってみると新しいものです。しかし、マーケットというのは、例えばIT分野が有望だと思うと、みんながわっとブームになってしまって、ファンダメンタルズ以上に株価が上がってしまいます。ですから、ファンダメンタルズに戻っていくということが起こります。

さらに、マーケットで今日起きていることはどんなことでも過去に起きたことであり、今後も起きることであると書いています。これも同じです。今日起きているテクノロジーのブームというのは、2000年にブームがありました。そして、そのブームははじけました。

ですから、今起こっていることは過去にも起きたことですし、そして恐らく過去に起きたこととしての調整というのは、今度もやはり避けられないと考えています。上がったものは下がる、下がったものは上がる。非常にシンプルな話です。

そしてもう一つ、どれくらい下がるのか。3割、5割は覚悟してくださいという話ですけれども、もう一つは、いつなのかということです。データに基づけば、アメリカの景気後退までは2年ぐらいあると示しています。マーケットもガタガタしているし、本当に2年もあるのか?と思うかもしれませんけれども、データに基づけば、まだ2年ぐらい景気後退まであるという話になっています。