景気後退入りの「事前」サイン

それを示しているのがこのページ、景気後退入りの「事前」サインとタイトルに書いていますけれども、事前サインには2つあります。

まず1つは、下段の青のラインです。青のラインは、テレビでも盛んに言われていますけれども、アメリカの長短金利差、2年金利と10年金利の差です。過去、景気後退に行く前にこの2年金利と10年金利が逆転しています。これを逆イールドと言いますが、図の青のライン上にあるオレンジの丸ポチが2年金利と10年金利が逆転したタイミングです。逆転をしてから大体1年~1年半後に、景気後退に入っているという事前サインになっています。これを見ていただくと、現時点でまだ2年、10年金利差は逆転していません。

何が逆転するの?という方のためにもう少し詳しく説明します。定期金利を考えていただくと分かりますけれども、通常で言えば長い金利のほうが短い金利より高いわけです。しかし最後の最後に、短い2年金利のほうが長い10年金利より高くなるということが起こります。それがオレンジの丸ポチをつけたポイントです。

なぜ、2年の金利なのに10年の金利より高くなる逆転現象が起こるのかというと、非常にシンプルです。アメリカの2年金利というのは、簡単に言えば、向こう2年間の政策金利の平均値を示しています。アメリカの政策金利というのは、翌日物の金利です。10年金利は、向こう10年の政策金利の平均値を示しています。

ですから、マーケットが向こう2年は景気後退がない、つまり利下げはなく今の政策金利のままだけれども、3年後、4年後、5年後には利下げがある、景気後退が来たと思えば、10年金利のほうが2年金利より低いという現象が普通に起こります。

これはまさに3年後、4年後には利下げがあるとマーケットが折り込みに行く、景気後退の事前サインとして働いているわけです。理屈があるということです。そうなってくるとみんながざわつきはじめて、それが自己実現的に景気後退に向かっているという可能性もあるとしてリスクテイクをやめていくわけです。

もう一つが、上段のグレーのISM製造業景況感指数です。毎月初に発表されますけれども、これが景気後退に行く前に50割れをします。景況感指数の50割れというのは、半数以上の企業が、自分の企業の業績が先月に比べて落ち込んでいますよ、鈍っていますよと回答しているということです。

ただし、これも見ていただくと今かなり高い水準にあります。図では青のラインのところに点線で予測値が入っていて、グレーのラインのところにもやはり点線で予測値が入っています。これは、過去のデータに基づいて、いつ2年、10年金利が逆転するのか、あるいは、ISM製造業景況感指数がいつ50割れするのかをわれわれ独自に計算しています。

ISM製造業景況感指数は過去の低下のスピードの平均値で計算しています。最近、景況感や株価が下がっていくとみられていますけれども、急に下がるということはないんです。リーマンショックがあった2007年、2008年のときもありますけど、ゆっくりゆっくりとしか下がっていかない。この過去の低下のペースを今回から仮定して伸ばしてみると、50割れは2020年の1月と予測されます。

アメリカというのは、簡単にいうと巨大な戦艦とか船みたいなものなのです。ぼーんっと穴が開いたのは分かるけれども、沈んで行くまでにはちょっと時間がかかるという感じです。ですから、サインが出るのが今から1年ぐらい先とすると、それは事前サインですから、そこから1年ぐらいあると考え、1年+1年であと2年ぐらい景気後退まではあるんじゃないかということがわれわれの見方になります。

今までの話をまとめます。まず長期投資の話をしましたけど、考えないのがいいです。ただやっぱり、景気の拡大はかなり進んでいて、ちょっと不安定になってきていますということです。これは自然に起こることです。では、どれくらいの下がるのか。やっぱり5割ぐらい下がると考えると、ちょうどファンダメンタルズにあいます。もう一つ重要な点は、景気後退にいつ行くのかを考えると、あと2年ぐらい期間があるんじゃないかということです。