はじめに
読者のみなさんからいただいた家計や保険、ローンなど、お金の悩みにプロのファイナンシャルプランナーが答えるFPの家計相談シリーズ。
今回の相談者は、年の離れた夫との間に3人の子どもがいる、35歳のパート主婦。3人分の教育費や老後資金の準備だけではなく、夫が相続した債務の残るアパートをこの先どうしたらいいのかなど、心配の種が尽きません。FPの高山一恵氏がお答えします。
子どもが3人おり、これから教育費もかかりますが、同時に老後資金も準備しなくてはいけないと気づきました。私はまだ30年近く働けますが、パートです。主人は50歳、定年は65歳で、現在の年収は約900万円。これからほとんど変わらない予定です。
昨年末に主人の父が亡くなり、父が10年ほど前に建てたアパート1棟を夫が相続しました。債務が4500万円ほど残っており、管理費を除いた賃料収入が毎月45万円ありますが、約30万円返済しています。残り15年です。他にも担保に入っている土地を相続したので固定資産税が年間30万円ほどかかります。すべてを売却すると5500万円くらいになるそうです。
子ども3人の教育費に老後資金、またアパートや土地を今後どう活用して行くか、考えたら不安だらけです。これから子どもにかかる費用と老後にかかる費用の目安を教えてください。毎月どのくらい貯蓄すれば足りるでしょうか。また、アパートはそのまま所有し続けた方がいいのでしょうか。アドバイスよろしくお願いいたします。
〈相談者プロフィール〉
・女性、35歳、既婚(夫:50歳、会社員)
・子ども3人:10歳、4歳、1歳
・職業:パート
・居住形態:持ち家(戸建て)
・手取りの世帯月収:60万円
(夫45万円、妻15万円)
・毎月の支出目安:45万円ほど
・貯金:100万円
・投資:500万円
・負債:6500万円(住宅ローンとアパートの債務を含む)
高山: ご質問ありがとうございます! 3人のお子さんの子育て、日々がんばっていらっしゃることと思います。今後のお子さんの成長が楽しみな反面、教育費の心配やご主人の年齢から老後費用が心配になってしまうのもわかります。
教育費や老後費用はどちらも人生の3大資金に当てはまる大きな金額なので、計画的に貯めていくことが大切です。加えて、アパート投資もされているとのことですが、アパート投資の一般的な注意ポイントについてもお伝えします。
子ども1人1人に対してきちんと教育費を考える
お子さんが3人いらっしゃるとのこと。可愛い反面、将来の教育費が心配ですね。
文部科学省などが公開しているデータによると、幼稚園から大学まで、すべて公立の場合には、子ども1人につき約1000万円、すべて私立の場合には、子ども1人につき約2,500万円かかります。ひとくちに教育費といっても通う学校によって学費に1000万円以上の差がでますので、子どもが小さいうちから漠然とでも進学コースを決め、いつの段階で、どれくらいの金額がかかるのかを把握して、計画的に準備していく必要があります。
基本的には、子どもが高校を卒業するまでは、学費は家計からやりくりしたいところです。文部科学省より「子どもの学費にかかる保護者が支出した教育費」のデータが発表されています。
これによると、例えば、公立中学の場合、学習費の総額は年間約48万円なので、家計から毎月4万円の支出になりますが、私立中学の場合、学習費総額は年間約133万円なので、家計から毎月10万円以上支出することになります。希望する進学プランで高校まで進学した場合、上記のデータなどを参考に、家計から支払えるかどうか予想しておきましょう。
ただし、教育費のピークである大学費用は、家計からの捻出だけでは間に合いません。大学入学費用として子どもが18歳になるまでに最低200万円~300万円は貯蓄したいところです。理系に行く場合や医学部に行く場合なども考えると、余裕を持って500万円は準備できると理想です。
教育費を準備する方法としては、財形貯蓄や銀行の自動積立定期預金、学資保険、つみたてNISA、ジュニアNISAなど、様々な方法があります。今回は貯める方法についての詳細は割愛しますが、ポイントは、子ども1人1人に対してかかる教育費についてきちんと把握し、現実的に可能かどうかを考えること。兄弟姉妹が多いと、上の子に教育費をかけすぎて、下の子に教育費をかけられなかったり、教育ローンを利用したりするといったこともよくあることなので、注意しましょう。
いつの段階でどれくらいのお金が必要なのかがわかれば、今からどれくらいの金額を貯蓄していけばよいか見当がつきますね。