はじめに

50代になれば老後の暮らしをどうするか?夫婦で考える機会も増えてくることでしょう。

賃貸か持ち家かは損得だけで決められるものではありません。ライフスタイルや価値観まで含めると正解は人それぞれでしょう。

人生100年時代と言われる昨今。収入が下がった60代以降の生活をどうするのか、住居費も含めた家計収支について真剣に考えていかなくてはなりません。

今回は、50代から考えたい住居費についてお話しします。


転勤が多く賃貸住まい、老後が不安…

筆者はファイナンシャルプランナーとして主にアラフィフ会社員世帯からお金の不安や悩みについてご相談をいただいております。そんな中で50代になりマイホームを購入した方がいいのか?お悩みの方は一定数いらっしゃると感じております。

一例ですが、50代ご相談者様のケースを見てみましょう。マイホームを購入しようと思っている時に転勤、その後も転々として現在に至るまで賃貸住まいをされています。60歳以降は収入も下がるため、このままずっと家賃を払い続けることができるのか不安な思いが強くなってきたとのことです。

いっぽうで、親の家を相続で受け継ぐ可能性もあります。だとしたら、このまま賃貸でも大丈夫かもしれない、と思う気持ちもありどうすればいいのかとご相談に来られたのです。

老後の賃貸住まいの費用<30年で総額3,600万円>

60歳以降賃貸に住み続ける場合、トータルで住居費はどのくらいかかるのでしょうか?

たとえば筆者の暮らす千葉県市川市では、UR賃貸物件が62㎡で約10万円前後の家賃です。子供は独立予定とすると、夫婦2人には十分な広さでしょう。仮に60歳から90歳までの30年間を暮らした場合、総額3,600万円になります。

60歳以降は収入が減少し、65歳以降は公的年金が主な収入源となる中、毎月10万円の支出が続くのは不安に思う人もいることでしょう。

老後の住居費の平均<30年で総額約492万円>

では、老後の住居費の平均はどのくらいなのでしょうか?総務省の2017年家計調査報告「家計収支編」によると、高齢夫婦無職世帯(夫65歳以上、妻60歳以上の夫婦のみの無職世帯)の住居費は1ヶ月当たり1万3,656円です。30年間では491万6,160円になります。この金額からイメージできるのは住宅ローンの返済がない持ち家の方達です。

その他、家計調査報告で注目したいのは、毎月の家計収支が5万4,519円の赤字というところです。住居費が1万3,656円でも家計全体で5万4,519円の赤字なのが年金暮らしの実状と言えます。

あくまでも、これは統計上の数字ではありますが、賃貸暮らしの場合、住居費の備えをしておく必要があります。一生涯収入が入り続けるのでなければ、貯蓄を崩していくことになります。

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