はじめに
2019年11月17日、お金に関連したあらゆることが学べる、年に1度のイベント「お金のEXPO2019」が開催されました。今後のマーケット見通しや、資産形成のノウハウ、不動産投資をテーマにした講演など盛りだくさんの内容となりました。
その中から、東京日商エステム 中山 裕嗣氏による「データで紐解く三大都市圏の不動産投資戦略」の講演内容をお届けします。
人口減少への懸念
今日はデータを読み解きながら、マンション経営に対する疑問点を、少しでも解消していただければと思います。
私がこだわっているのは、弊社の事業の一環でもございます、三大都市圏での供給です。首都圏、中京圏、近畿圏、この三大都市圏に関しては、今や景気の回復が見込まれ、進学の環境や雇用が充実し、衣・食・住の「住」である利便性の高い住環境により、非常に人気が高いエリアとなっています。
お客さまから「今後は人口が減っていくでしょう?」「マンションはどんどん余っちゃうんじゃないの?」といった不安点を指摘される事が多いのですが、実際、人口減少によって今後のマンション経営はどうなっていくのか、事実をお調べ致しました。
2019年に関しては、日本の総人口は1億2,615万人。そして2025年、2035年、2045年と、人口は確かに減少していく予想が、政府からも公表されています。2045年にはなんと2,000万人も減り、日本の総人口は1億人にまで減少してしまうといった懸念もあります。
その内訳としては、15~64歳までの生産年齢人口が減少し、そして65歳以上の高齢者の方たちが増えていく予想がされています。こう見れば「若者をターゲットにしたマンション経営では空室が多くなっちゃうんじゃない?」「家賃が下がっちゃうんじゃない?」というような印象が残る事がわかります。
上図は全国における1996年~2016年、20年間の都道府県別の人口増減率を色分けしたものです。人口が減少しているのは青のエリア、マイナス10%です。次が緑のエリア、マイナス5%~10%。そして黄色のエリア、0%~マイナス5%。そして人口が増加しているのが、赤のエリアです。人口の自然減が進行しても、まだ増加しているエリアがあります。
これをマンション経営のほうに当てはめます。空室率のランキングというものが公表されています。その中で圧倒的に空室率が多いのは、青のエリア、緑のエリアです。人口が増加している赤のエリアは、やはり空室率が低いです。
ここで「おや?」と思ったんです。「東北の青のエリアは、この空室ランキングに入ってこないのか」と。そこで、私より不動産に詳しい先輩に聞くと、そもそも東北地方の方々は持ち家率が非常に高くて、「こんなところでマンション経営が成り立つはずがない」という考えを持っている方が多いとおっしゃっていました。
逆に、緑のエリアや、黄色のエリアは、「ひょっとしておいしい穴場じゃないの?」と考え、利回りにつられて手を伸ばされた方が、空室に悩まれるケースも見受けられます。
三大都市圏で続く人口増加
圧倒的に人口が増加傾向にあり、東京都で現在1,394万人です。日本の総人口の1割を超えます。たった1年で9万9,000人もの方が増えています。
今は定職率や進学率も高く、東京に進学や就職してくる方々が増え続けています。これはたまたま今年だけの増加ではなくて、なんと23年連続、平均すると約7万人~8万人、毎年増えて続けています。
神奈川県の中で、増加傾向なのは横浜市です。神奈川県内全エリアで見ると、微々たる上昇を観測できますが、横浜市では転入超過のデータが出てきます。大阪府では、中心エリアにあたる大阪市。こちらは17年連続で人口が増え続けています。愛知県では名古屋市が、22年連続で人口が増え続けています。
このような、局所的な人口増加を見て、「なぜ人がここに集まってくるのか」という根本的な疑問が出てきます。こちらのデータは国内の上場企業数。全国で3,755社あります。その中で本社がある場所の分布を見ると、東京と神奈川が55%を占めます。大阪が11%、愛知が6%です。
驚くことに、東京、神奈川、大阪、愛知を合計した面積は、日本全土の面積のたった3%の広さしかないんです。この3%の中に、約80%ものの企業が集約されております。若い年齢層の皆さんが、どこへ移住している方が多いかというと、進学して就職する大都市圏を目指されています。私の会社のほうでも、約9割の人間が地方人です。
移住される皆様の目的というのは、人生一度きりですから、自分の能力を最大限に生かせる環境を目指されているわけです。地元では輝ききれなかった希望や夢が、このような大都市圏に出ていけば、それを受け入れてくれる学校や企業があると考えています。
大都市圏であれば仕事の稼ぎも安定している上に平均賃金も高めですし、勤め先の福利厚生もしっかりしている企業は多いです。自分らしい生き方の望みをかなえてくれる夢が詰まったエリア、純粋にそういったところに人が集まってきているんじゃないかと思います。