はじめに

「損して得する」IPO獲得術

――店頭証券(総合証券)でIPO当選率を上げるにはどんな方法がありますか。

ネット証券は抽選配分ですが店頭証券は裁量配分ですので、人と話すことが好きな人であれば担当者と仲良くなるのが近道だと思います。

僕がよくやっていたのは、証券会社の担当者が売りたい投資信託などをお付き合いで買って、心情的にIPOを配分したくなるような雰囲気にもっていく方法です。簡単に言えば、恩を売ってIPOをもらうということです(笑)。

投資歴30年のJACKさん

例えば、500万円分くらいの投資信託を買うと手数料3%として15万円くらいのマイナスです。しかし、そこで心情的に恩返しのIPOがくれば、100万くらいの利益が取れることもあります。投資信託は一定期間のみ保有したり、ヘッジをして売ってしまえば良いので、差し引きではプラスになります。

――投資信託の収支はマイナスでもトータルでプラスなら良いわけですね。

はい。損して得するために戦略的に損するということです。担当者はいろいろな銘柄を抱えています。投資信託以外では、公募割れしそうなCランク、DランクのIPOとか株価が下がっている銘柄も捌きたいと思っています。そういう銘柄は投資家には不人気なので、担当者が営業の電話をかけてきますよね。その時に「困っているなら引き受けるよ」とある意味借りやら恩を売るわけです(笑)。

JDIなどがその例ですね。人気がなかったJDIを引き受けたら、返報性の法則ではありませんが、人気があったサイバーダインのIPOをもらいました。値上がりするIPOに絞るのではなく、マイナスになるものを抱き合わせにして、差し引きでプラスにするスキームはこれまでのIPO投資の中で身に付けた技術の1つです。

――差し引きでマイナスになることはないのですか。

今までの経験ではないですね。もちろん、担当者のお勧めを言われるまま買っていたらマイナスになるでしょう。その対策として、引き受ける不人気の銘柄を貸借銘柄だけに絞って、買うと同時に空売りしておくことができます。すると、値下がり分は空売りで打ち消せますので、証券会社へのお布施は空売りの手数料だけで収まります。上がった場合は担当者にありがとうと伝えればいいですし、下がったら恩が売れます。

担当者のお勧めは基本的には下がることが多いというのは皆様も経験があるのではないでしょうか。ですから、場中の営業電話でお勧めしてくるような銘柄は十中八九下がるといえます。そういう銘柄で戦略的に損することで「この損を取り返すなら、ここは当たるからわかりませんが、IPOの応募なんてしてもいいですかね?」といった話が切り出しやすくなるわけです(笑)。