はじめに

確定拠出年金の仕組みをおさらい

まず、確定拠出年金の仕組みのおさらいです。通常、掛金は会社が負担、社員はその掛金でどの金融商品を買い付けるかの運用指図を行います。利用できる金融商品は、会社が契約している運営管理機関のランナップから選びます。

ラインナップは二つのグループに分かれています。リスクはないけれど金利は残念ながら低い定期預金や保険のグループ、価格変動のリスクがある代わりに大きく増える可能性もある投資信託のグループです。そして、確定拠出年金の大きな特徴のひとつが、複数の金融商品を組み合わせて使うことができ、その組み合わせを割合で決められることです。

例えば、定期預金50%、A投資信託30%、B投資信託20%で合計100%の組み合わせに設定すれば、毎月の掛金からこの割合で購入できる仕組みです。

移換金と今後の掛金、2種類を運用する必要がある

ご相談者の場合、2種類の運用方法を考える必要があります。元の確定給付年金からの移換金の運用と、これから始まる毎月の掛金の運用です。

元の確定給付年金は、勤続年数が長い人ほど、年金原資が貯まっています。ご相談者の勤務先ではこれも確定拠出年金の口座に移すことになっていますが、一度に移す会社と、何度かに分け数年かけて移していく会社があります。また、毎月の掛金とは別の運用割合を指定できる場合と、毎月の運用割合が自動的に適用になる場合があります。ご相談者の勤務先はどうなっているかを確認してください。

いずれの場合も、移換金が振込まれる時期は会社からお知らせがあるはずです。ご相談者は勤続30年、移換金はかなりの額になりそうですから、ご自身のお考え通り、まず定期預金で受け入れて、その後の経済動向などを見て、スイッチングを使って一部を投資信託に切り換えることを検討したほうがいいでしょう。運営管理機関のシステムにもよりますが、金融商品の選択は拠出日(振込日)の数日前にマイページやコールセンターで指示を出せば適用されます。

毎月の掛金をどう運用するべき?

毎月の掛金をどう運用するかは、60歳というゴールが決まっていることを考えると、投資信託の場合はリスクが小さめのもの、例えば資産分散型で株式の比率が低いものが候補になるでしょう。ご自身で株式タイプの投資信託と、債券タイプの投資信託を組み合わせる方法もあります。運営管理機関によってはターゲットイヤー型の投資信託を取り扱っているところがあります。ターゲットイヤー型の投資信託は、例えば2030年など決めた年度に向かって価格変動の大きな資産(株式)を徐々に減らしていく運用をします。利用できるなら、60歳時点でリスク資産が少なくなるターゲットイヤー型の投資信託を選択する方法もあります。

新型コロナがあとどれくらいで収束するのか、なかなか見通せませんが、過去を振り返ってみても、人間は知恵を使って多くの困難を乗り越えてきたわけですから、いずれは経済も回復するでしょう。仮に日本経済が思わしくなくても、投資信託を使って世界全体の経済成長にお金を投じることができます。まだあと10年弱の時間があることも、ご相談者にとってはプラスの材料です。大きなリスクはとらないまでも、一部を投資に振り向けて運用してもよいと思います。