はじめに

“思い込み”を捨て、部下のキャリア観を大切に

では、上司はどのように対応すればいいのでしょうか。

(1) 目指したいキャリア像を問い詰めず、多様な選択肢を認め、提示する。

まず、上司が自身のキャリア観を手放し、多様なキャリア観を認めることが必要です。特に、部下のキャリアを現職の範囲に限定して関わることをやめましょう。

上司が、現職に限定して関わると、部下としては本音が言えず、上司が推奨するキャリア像に「合わせにいく」現象が起きます。これですと、部下のキャリア形成支援の目的である、部下の自律促進やパフォーマンスの向上とは程遠い関わりになるのです。

部下には就業だけでなく、多様な選択肢があることを前提として関わることが大切です。

次に、部下にキャリアの希望を問う前に、キャリア像の例を幅広く提示できるように準備しておくと良いでしょう。社内外問わず、様々なロールモデルを説明し紹介できるようにしておくことで、部下はライフイベントに応じた働き方をイメージしやすくなります。

そして、部下の発したキャリアイメージが上司にとって短いスパンで小さくとも、認め・受け入れましょう。部下が発したことを上司が受け入れて支援し、出来ることが増えていけば、その過程で目指したいキャリア像を見つけることができる場合があります。

(2) ライフイベントについての思い込みを捨て、部下の本音を把握する。

これも、まずは上司自身がライフイベントについての推測や思い込みを止め、部下の本音を把握することが大切です。

具体的な方法としては「中長期的なキャリア支援のために、会社に知っておいて欲しいライフイベントや事情はあるか」と聞きましょう。併せて、この質問はあくまでも仕事のためで、言いたくないことは言わなくて大丈夫だと伝えることが大切です。部下に安心感を持ってもらい、対話をはじめましょう。

可能であれば上司から、「自身で言うと」といった自己開示から始めると、部下も話しやすいでしょう。

(3) 配慮が排除にならないよう、期待を伝え本人の要望を引き出す。

排除にならないように、上司として期待を伝え、部下に要望を出すことが必要となります。時間や場所の制限があっても、周囲から求められる人材になる意識を持たせましょう。期待の伝え方としては、部下と任せるレベルを相談した上で、役割と責任を与えることを推奨します。

これまで、ライフイベントによる働き方の変化は、女性が担うことが主でした。しかし現在は男性やその他さまざまな事情を抱える部下に対しても同様に求められるようになっています。

部下のキャリア形成支援においては、自身のキャリア観で関わるのでなく、部下のキャリア観をきちんと聴き、認めることが重要です。

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