はじめに
上司がしがちな“思い込み”
上司がしてしまいがちな行動、その一つ一つを見ていきましょう。
(1) 目指したいキャリア像を持つことを強制し、問い詰めてしまう
様々な問いを投げ掛けることで、部下のキャリア像が必ず明確になると思い込んでいる上司がいます。そのような上司は、明確にし辛い要因を、キャリアを自ら描こうとする意志の弱さ・描く経験の少なさの問題だと捉えている傾向にあります。
(2) ライフイベントは一切聞いてはいけないと思い込んでしまう
上司からすると、部下のライフイベントを聞くことはハードルが高いものです。場合によってはセクシャル・ハラスメントになりかねないからです。それであれば積極的に関わって嫌われるよりも、付かず離れずの対応に終始する方が、お互いにとって良いと考える傾向があります。
(3) 配慮のつもりが、期待を伝えないまま排除になってしまう
「彼/彼女は家庭のことで大変そうだから、責任ある仕事を任せるのは荷が重いだろう」といった考えです。一見、優しい印象ですが、成長機会のある挑戦的な仕事を与えないことになり、発展的なキャリア形成を阻害することにつながります。
上記3つに共通することは、上司は「良かれと思って」やっているのです。
部下との間に生まれる溝
一方、このようなキャリア形成につながらない関わり方をされた部下はどのように考えるのでしょうか。
(1) 目指したいキャリア像を持つことを強制されると、苦しく感じてしまう
ライフイベント、特に出産や育児に関することは不確定要素が多いものです。そのため、上司がキャリア像を明確にさせようとすればするほど、言質を取られているようで苦しくなります。
(2) ライフイベントについて聞かれなければ、共有する機会を失う
上司と部下の間でよっぽどの信頼関係が築けていない限り、ライフイベントの予定について部下自ら伝えることは少ないでしょう。何故なら、不確定なライフイベントを伝えることは、心理的ハードルが高いためです。
(3) 仕事から排除されたと感じ、不満が残る
部下としては、上司の関わりや任せられる仕事に不満があっても、すぐに異論を唱えることは少ないでしょう。部下が上司に対して、排除されていると感じている気持ちを伝えることは、とても勇気がいるものです。
しかし、この排除が重なっていくと、部下の不満は蓄積し仕事への意欲にも影響します。また内容によっては、ハラスメントに該当する可能性もあるのです。