はじめに
老後のじぶん年金づくりに注目されているiDeCo
昨年の6月に金融庁のワーキンググループが出した報告書によると、公的年金だけでは老後は2000万円足りないとのこと。現在の高齢者の方でさえ、毎月の生活費は年金だけでは足りずに、貯蓄から取り崩している状態。ましてや私たち現役世代が老後を迎える頃にはどうなっているのやら……と不安が募りますが、そこで、今からでも始めたいのが「iDeCo(個人型確定拠出年金)」です。
iDeCoは、私的年金の一種で、ザックリいうと公的年金の上乗せ制度。iDeCoは、老後の自分年金作りの手段として注目を浴びていますが、こんなにも注目されるワケは、ズバリ他の制度よりもずば抜けて「税制優遇」があるからです。iDeCoは、「掛金の拠出時」「運用中」「受け取り時」の3つの場面で税制優遇があります。
まず、iDeCoの掛け金は、全額を所得控除できます。「所得控除」とは、本人や家族の状況、災害や病気といった個人の事情によって、税の負担を軽くする制度のこと。掛金全額が所得控除にカウントできることにより、所得税を計算する元となる課税所得が減るので、所得税を減らすことができます。ちなみに、翌年支払う住民税も減らすことができます。
また、iDeCoでは毎月、定期預金や投資信託などを積み立てていきますが、積立期間中は運用益は非課税になります。通常、定期預金の利息や投資信託の売却益や分配金には、20.315%の税金がかかりますが、iDeCoを活用すれば、これらの利益に税金がかかりません。利益に対して非課税ということは、それだけ多くのお金を運用に回すことができるので、利息が利息を生む複利効果も期待できるというわけです。
さらに、iDeCoは原則60歳から受け取りますが、受け取り時にも「退職所得控除」や「公的年金等控除」といった退職金や公的年金を受け取る時と同様の税制優遇が適用になり、お得に年金を受け取ることができます。
しかも、2017年1月からは、専業主婦(夫)や公務員、さらに勤め先に企業型確定拠出年金があるサラリーマンも加入できるようになり、実質的には、20歳以上の日本国民であれば、ほぼ誰でもiDeCoに加入できるようになっています。
ただし、自分が選んだ商品の運用成績が芳しくない場合には、将来の受取金額が減ってしまう可能性もあるので注意が必要です。