はじめに

確定拠出年金の強みは分配変更やスイッチング

確定拠出年金は、運用益が非課税というメリットがあります。せっかくの「非課税枠」を利用しているのに、元本保証型や、債券中心の運用では利益が出づらいのでもったいないと思います。ご相談者様のように20代30代の方は、リスクをとって株中心の全世界分散をおこなって、こつこつと積み立てていくことが重要と思います。

ほかにもメリットとして、「配分変更」や「スイッチング」があげられます。例えば当初の想定より株が増えすぎていて、ポートフォリオのバランスが悪くなることがあれば、この配分変更やスイッチングでバランスを整えることができるのです。

分配変更とは?

毎月購入する運用商品のバランスを変更することを分配変更といい、分配変更することによってリスクコントロールができます。例えば、「30代、40代は株式中心の投資信託でリスクをとったけれど、50代は株式型の投資信託の購入をやめて、債券型投資信託や元本保証の商品を買い増すことで全体のリスクを下げる」などです。

ガラリと分配を変えるのがスイッチング

もっとガラリと配分を変えるのがスイッチングです。それまでに積み立ててきた商品構成を変更し、株式の投資信託を元本確保型商品に切り替えることで利益を確保することができます。例えば、「株式の投資信託100%で積み立ててきて、50代になったら半分を元本確保型に切替えて利益を確定させ、残りの1/4をリスクの小さい債券に変える」などです。これは確定拠出年金ならではの機能なので、タイミングを見て利用すると良いと思います。

途中で払い続けられなくなったら?

確定拠出年金は基本的に途中でやめることはできませんが、掛け金を5,000円まで下げることができます。もし、掛け金を継続出来ない場合は、拠出を停止することは可能です。ただし、この場合は加入者資格の喪失になるため、停止している期間は、先程の説明と同様、受給時の退職所得控除の計算対象期間には含まれなくなります。拠出を停止した場合でも積み立てた資産はスイッチングが可能ですが、口座の管理手数料は継続的に負担しなくてはなりません。

継続的な積立投資によって、資産形成も育っていきますし、制度の優遇も最大可していくので、今後の転職や、ライフステージの変化によって拠出することが難しくなっても、できるだけ停止せず、掛け金を減らすなどで対応すると良いと思います。

長期投資の成功は、日々の家計のキャッシュフローをコントロールできるかによります。確定拠出年金は、税制優遇制度としては非常に有利ですが、やめられないし、引き出せないデメリットもあります。成功させるために長期で家計をコントロールしながら、老後の不安を解消いただければと思います。以上、参考になれば幸いです。

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