はじめに

収入がある時期に貯金を増やせないことに危機感を

60歳以降のことを考えると、この先今以上の収入がある時期はないということを、まずしっかりと認識しておきましょう。つまり、70歳になるまでの4年弱が老後資金を増やすチャンスです。

今の時期を逃すと、退職後は年金とお子さんからの仕送りだけが収入となります。金額にすると10万円ほど。これで暮らせるのかどうかをまず考えてみましょう。よく、仕事をやめれば支出は減るものだと言われる方がいるのですが、月に24万円かかる暮らしを急に10万円の暮らしにすることは不可能です。そう簡単なことではないのです。

ですから今のうちに支出を減らし、生活費を少なくしておくことは、これからの暮らしを維持するために大切なことです。収入がある時期は貯金できる金額を増やすことができますし、収入が少ない時期には、貯金を切り崩す金額を少なくできるからです。

今のままでは貯金はできませんし、収入が減れば貯金から補填をする暮らしになります。毎月14万円補てんする暮らしでは、貯金の300万円は21カ月しかもちません。2年ももたないのです。このことには十分危機感を持っていただきたいものです。

支出の削減を検討しよう 

 
少しでも支出を減らすには、どうするとよいでしょうか。まず、自分が毎月何にいくらを使って暮らしているのか、全体像をもう少しきちんと把握しましょう。

今はお子さんからの仕送りもあり、月の収入額は26万7,000円ほどあるようです。対してお伺いした支出は24万円。2万7,000円は残っている計算となるのですが、貯金が全く増えないということは、何かしらで使ってしまっているのでしょう。残るはずのお金が何に使われているのか、もう少し支出について把握を進めたいものです。

また、娯楽費が極端にかかりすぎていることがわかります。楽しみを辞めろとは言いませんが、適度な支出額に抑えるべきです。食費、通信費も見直しの余地がありそうですし、水道光熱費、被服費も利用の仕方、買い物の仕方などを工夫すると下げられる可能性があります。洋服などは毎月買う必要はないでしょうから、3カ月に一度など頻度を減らすだけでも支出の削減になるのです。無理をして支出を減らすのではなく、必要な支出は残しながら削減していくと、生活に定着させやすいと思います。

投資をするのか、貯金を増やすのか

投資を始めたいというお言葉もありましたが、毎月の支出を削減し、投資に充てられるお金を毎月安定して作れるまでは、始めないほうが良いでしょう。今のところ生活費1年分ほどの蓄えがあるとはいえ、余剰金が毎月できない状態で投資を始めると、その蓄えからお金を投資に回すようになります。そうすると、万が一まとまったお金が必要になった時に対応できません。

貯金でも投資でも、自分のお金が形を変えるだけなので変わらないと思われるかもしれませんが、投資の場合はその時の相場により価格が異なります。お金が必要になって投資商品を売ったら、損をしてしまったということもありますから、安易に投資で増やそうはすべきではないように思います。必ず毎月のやりくりで安定した余剰金を出せるようになってからにしましょう。